株式投資において、株価の上昇は収益を得るために不可欠です。
しかし、初心者にとっては株価の変動について理解することが難しいものでもあります。
むしろ、これを100%分かる人がいれば、その人は世界的なビリオネアまっしぐら、といったところでしょう。
そこで、この記事では、投資初心者の方でも分かりやすくご理解頂くため平易な言葉遣いで、極力専門用語を排していくことを目指しつつ「株価の値動きの仕組み」、「株価が上がる要因・理由」について解説していきます。
株価の値動き、その仕組みは?
まずそもそも「株価の値動き」は、どういった仕組みで起こるのでしょう。
これは端的に言ってしまえば、企業の業績や市場の需要と供給のバランス、さらには株式市場のニュースやイベントにも影響されて起こります。
まず大前提として、企業の業績に応じて株価は上下します。企業が業績を改善すれば、当然、株価は上がります。他方、業績が悪化すれば(あるいは業績悪化につながる、文字通り「株を下げる」不祥事等が起こった場合にも)株価は下がります。
よって株式投資においては、企業の業績が重要なポイントとなります。
また、市場の需要と供給のバランスも株価の値動きに大きく関わっています。
株式市場において、買い手が多く、売り手が少なければ株価は上がりますし、売り手が多く、買い手が少なければ株価は下がります。
このように株価は市場のバランスによって変動します。
さらに言ってしまえば、先ほど少し触れた通り株式市場関連のニュースやイベントによっても株価は影響を受けます。
例えば、企業の好業績の発表や、大型の買収・合併などが発表された場合は、株価が上昇する傾向があります。
一方、経済や政治を含め、全体的な不安定要因がある場合は株価も下落する可能性があります。
以上のように、株価の値動きには、企業の業績や市場の需要と供給のバランス、株式市場のニュースやイベントなど、様々な要因が関係しています。投資初心者の方は、これらの要因を注意深く観察し、株式投資の判断をすることが大切です。
株価が上昇する要因とは?
そもそも、ある企業の「株価が上昇する」ということは、その企業の価値とそれに妥当な価格との間に差があり、その差が埋まっていく過程のことであるといえます。
つまり、株価投資とは、価値と価格の差を人よりもいかに早く見抜くか、ということが重要になってきます。
それでは、株価が上昇する要因にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、基礎的な要因を2つ、直接的な要因を5つ、計7つの要因を取り上げて、解説していきます。
【基礎①】情報格差
まず株価の上昇の大元である、価値と価格の差がなぜ生まれるのかについて考えていきます。
まずあげられる基礎的な要因は、「情報格差」です。
ある企業の価値をすべての人が等しく知っているとは限りません。企業の本当の価値を知らない人が多くいる場合、その企業の株は割安なまま放置されます。
そして、この情報格差が埋まっていく過程で、価値と価格の差も埋まっていきます。つまりは株価が上昇していく、というわけです。
【基礎②】感情バイアス
次にあげられる基礎的な要因は、「感情バイアス」の存在です。
株式市場は合理性によってのみ動くとは限りません。感情に基づいて動くことも多々あります。そしてそのような時に、価値と価格に差が生じます。
なかでも、投資家が「不安」や「悲観」という感情に基づいて行動する(具体的には株の売却をする)時、実際の価値よりも株価が安くなるケースが数多く見られます。
このように感情的になっているときに、合理的な視点を失うことなく、価値と価格の差を正しく見抜くことができれば、価値と価格の差が埋まっていく過程で利益を上げることができます。
企業の業績の改善
上にあげた2つの基礎的な要因によって、割安に放置された会社の株価が上昇するためには、なんらかの材料・直接的な要因が必要です。
そのような直接的な要因の1つが、企業の業績の改善です。
企業の業績が改善すれば、企業の価値は上がりますし、また投資家としても「期待」を抱き「買い」の行動に出ることでしょう。
また、投資家は新しモノ好きな傾向があることから、企業が新製品開発や新事業展開などを発表することで、業績の改善を期待する側面もあり、株価が上がることがあります。
ただし、その成果が思ったように上がらなければ、すなわち新しいことが業績の改善に繋がらなければ、いずれ株価は下がります。
他にも、企業が業績の改善を受けて増配(企業が配当を増やすこと)をおこなうことで、市場が反応して株価が上がる、ということもあります。
市場の需要増加
株価上昇の直接的な要因の2つ目は、「市場の需要増加」です。
株式市場である企業の株の需要が増加すれば、その価格は当然上昇します。
例えば、自社株買いを実施することにより株式市場に出回っている株式数が減り、1株あたりの利益が大きくなって、それを求める投資家が増えることで、株価は上昇します。
また、株式分割や最低投資単元の引き下げによって、小口でも投資家が株を買いやすくなり、需要が増加して、株価が上昇するケースもあります。
他にも、あまり目立たないJASDAQや2部上場の企業が1部上場に鞍替えしたり、名古屋あるいは大阪の証券取引所の銘柄が東京証券取引所にも上場するといったことをきっかけに、注目度が上がり需要が増加することもあります。
財政・金融政策の変化
株価上昇の直接的な要因の3つ目は、「財政・金融政策の変化」です。
一般的には、 金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる傾向があります。政府による金利政策が株価に影響を与える一例です。
他にも、政府による規制撤廃によって、業界が活性化し、関連企業の株価が上昇する、といったこともみられます。
投資家心理の変化
「投資家の心理の変化」もまた、株価の上昇の要因となります。
先に述べたような感情バイアス、すなわち「不安」や「悲観」が落ち着いて、「売り」よりも「買い」を選択する投資家が増えれば、価値と価格の差が埋まり、株価は上昇します。
企業による戦略的な合併・買収、あるいは投資ファンドによるTOB(株式公開買い付け)が投資家心理に影響して、株価が上がることもあります。
他にも、株主優待を充実させることで、投資家からの評価を得てファンとなる投資家が増えることで、株価が上昇することもあります。
あるいは、IR(Invester Relationsの略で、企業が株主や投資家に対して、投資判断に秘帖な情報を提供する活動のこと)を充実させることで、投資家が企業への理解が深まり、結果心理状態が変化して、株価上昇に繋がることもあります。
業界全体の成長
最後にあげる要因が、「業界全体の成長」です。
業界全体が成長することで、その業界に属する企業が全体的に価値を上昇させ、それによって株価が上昇することもあります。
日経ビジネスとドイツの調査会社スタティスタによる共同調査によると、昨年2022年に急成長した日本の企業100社のうち、28社は情報通信業であり、そのなかでもAIに関するサービスを提供する企業や、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するサービスを提供する企業が目立ったとの情報があります。
このような業界では今後、株価の上昇がおこる可能性が高いといえるでしょう。
他にも、業界全体が成長するなかで、著名なビジネス誌や新聞に取り上げられて、株価が上がる、といったことも起こり得ます。
【コラム】最終的に収斂する先は「株主価値」?
株式投資の初心者はおそらくこんな疑問を持つかもしれません。「企業の価値と株価の差って本当に解消されるの?」という疑問です。
この答えは「はい」です。
株価は、短期的には相場全体のムードや企業のその時々の人気によって上下動しますが、中長期的には、会社の事業価値から負債価値を差し引いた残余である「株主価値」に収斂します。
株価は、短期的には様々な材料に反応して大きく変動することもありますが、長期的にはその企業の本質的な価値という落ち着くべきところに落ち着く、というわけです。
株式投資において、上昇期待の高い銘柄選びのポイントは?
企業の業績が株価の上昇に大きく関わっていることから、上昇期待の高い銘柄を選ぶためには、企業業績の情報収集が欠かせません。
そのため、以下のポイントを抑えた情報収集が必要です。
- 企業業績のチェック
- 業界トレンドやマーケット環境の分析
- テクニカル分析による価格変動の予想
- 投資家心理のチェック
それぞれについて、詳説します。
企業業績の情報収集
企業業績の情報取集としては、「財務諸表の確認」「過去の業績と比較しての見通し」「業界内の競争環境やトレンドのチェック」の3つが重要です。
財務諸表の確認
企業の財務状況を知るためには、財務諸表の確認が必要です。
主要な財務諸表として、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書があります。
過去の業績と比較しての見通し
企業の業績を見るためには、過去の業績と比較しての見通しを把握することが大切です。
過去の業績のトレンドを知り、今後の見通しを予想することができます。
業界内の競争環境やトレンドのチェック
業界内の競争環境やトレンドを把握することで、企業の業績や株価の動きを予想することができます。
業界内の動向やトレンドを注視し、市場の先行指標となる情報を収集することが大切です。
業界トレンドやマーケット環境の分析
企業業績だけでなく、業界トレンドやマーケット環境の分析も銘柄選びには欠かせません。
以下のポイントに注目することで、より正確な分析が可能となります。
政府や関連企業の動向を調査
政府や関連企業の動向を把握することで、市場の動向を予測することができます。
政策変更や法改正、新技術の導入などに注目し、銘柄選びに生かすことが大切です。
市場の動向を分析
市場の動向を分析することで、株価の動きを予想することができます。
マーケット全体の動向や、関連銘柄の株価や指数、業界平均などのチャートを確認し、相場のトレンドや傾向を把握することが重要です。
特に、長期的なチャートを確認することで、市場の大局的な動きを把握することができます。
マーケットシェアや需要・供給のバランスなどに注目
銘柄選びにおいては、企業の市場シェアや需要・供給のバランスを把握することが大切です。
市場での競争力や、企業の収益力を予想することができます。
テクニカル分析による価格変動の予想
株式投資においては、株価の値動きの推移をグラフ化したチャートを読み、分析する「テクニカル分析」を用いた価格変動の予想も、重要な方法のひとつです。
以下のポイントに注目することで、価格変動を予測することができます。
株価チャートの分析
株価チャートを用いた過去の価格変動のトレンドやサポート・レジスタンスなどを把握することが大切です。
また、異常な高騰や暴落が起こっている場合は、市場の期待や環境に注目する必要があります。
テクニカル指標の分析
テクニカル指標を用いた分析は、株式投資において一般的な手法です。
代表的な指標として、移動平均線、MACD、RSIなどがあります。これらを用いて、相場の動向を把握することができます。
指標名 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
移動平均線 | 過去の株価の平均値を線で表したもの。日足・週足などが一般的。 | 異常高騰や暴落などの場合、相場のトレンドを把握するために使用される。 |
MACD | 移動平均収束拡散手法。短期移動平均線・中長期移動平均線を使用することで相場の売買を判断する。 | 新しい価格の方に比重が置かれる。 |
RSI | 相場の買われ過ぎ・売られ過ぎの状況を数値で表したもの。一定期間の値動きから算出する。 | RSIが70を超えた場合、相場が買われ過ぎであり、調整が予想される。一方、RSI値が30を下回った場合、相場が売られ過ぎであり、買い時とも考えられる。 |
過去の相場動向との比較分析
過去の相場動向と比較することで、株価の将来的な動きを予想することができます。
過去の相場のトレンドや時期を把握し、それを参考にして銘柄選びをすることが重要です。
投資家心理のチェック
先に述べたように、投資家心理の変化は株価に影響を与えます。投資家心理のチェックのために確認・注目すべき項目には、以下のようなものがあります。
個人投資家や機関投資家の売買動向を確認
個人投資家や機関投資家の売買動向を確認することで、市場のトレンドや株価の動きを予想することができます。
特に、大口の売買動向は株価に大きな影響を与えることがあるため、注目が必要です。
市場の心理的な空気感を察知
市場の心理的な空気感を察知することで、市場のトレンドを予想することができます。
例えば、好業績企業の株価が下落している場合は、市場の空気感が悪いことが考えられます。
投資家の期待や不安に注目
投資家の期待や不安に注目することで、市場の動向を予想することができます。また、投資家の期待や不安に影響を与えやすい要因についても同時に注目しておきましょう。
投資家心理のチェックは、市場の動向を予想する上で非常に重要なポイントです。
しかし、市場の心理的な動きを正確に把握することは難しいため、多角的な分析が必要となります。
まとめ
株価の上昇には、さまざまな要因が関わっています。企業の業績改善や市場の需要増加など、さまざまな要因を踏まえて、銘柄選びをすることが重要です。
また、投資家の心理的な要素も重要であるため、市場の動向を注意深く観察することが必要です。
株式投資初心者の方も、この記事を参考にして、理性的な投資判断を行い、収益を得ることができるようになっていただければ幸いです。
とはいえ、こうしたことは一朝一夕にして成らずといったものでもありますから、やはり、プロの情報を参考にして学習・理解のスピードにレバレッジをかけて行動することがこれからの時代は特に肝要でもあります。
ご自身でも基礎の勉強・理解は進めつつ、大事なポイントや学習コストのかかる部分についてはプロの言葉に耳を傾けるという考え方も選択肢としてある、ということを念頭において行動するとよいでしょう。
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