インデックス投資と比べて大きな収益をあげうる投資法として、個別株投資があります。
株価の上昇が期待できる銘柄を見定め、タイミングを見計らって資金を投下する投資は、うまくいけば大きな収益をあげることができます。
しかしこの銘柄選びは一筋縄ではいきません。投資の基本は大事ですが、唯一の正解はもちろんありません。いわゆるスゴ腕と呼ばれる投資家もまた、試行錯誤の中で自身の銘柄発掘法を見出してきました。
そこで今回は、上昇期待銘柄とは何かについて簡単に説明したのちに、上昇期待銘柄の発掘法をスゴ腕投資家の方法を交えつつ紹介します。そして、上昇期待銘柄発掘法を活用した投資戦術についても解説していきます。
上昇期待銘柄とは?
まずはじめに、上昇期待銘柄とはどういうものであり、なぜそれを投資家は狙うのかについてや、上昇期待銘柄のリスクと注意点について、説明していきます。
なぜ上昇期待銘柄を狙うのか?
投資家が上昇期待銘柄を狙う理由はただひとつ、株価が上がる可能性が高いためです。そのような銘柄を選ぶことで、投資家は利益を得ることができます。
株価が上がる理由には、業績が改善したり、自社株買いが行われたり、投資家が増配に期待するなどがまず挙げられます。また、割安な水準にある株式が将来的に上昇する可能性があるという予測もあります。
そして、スゴ腕の投資家になると、上で述べたような基本を踏まえるだけでなく、おのおのが独自の視点や基準も取り入れて、上昇期待銘柄を発掘し、投資する対象を選定しています。
上昇期待銘柄の特徴
上昇期待銘柄の特徴は、将来的に株価が上昇する可能性が高いと見込まれる銘柄であることです。
これは、業績が好調である、市場の需要が高まっている、または将来的に成長が期待される業界に属しているなどの要因によるものです。
また、上昇期待銘柄を選ぶ際には、企業の業績や財務状況、市場動向などを分析することが重要です。そして、株価が下落した場合にも、将来的に回復する可能性が高い銘柄を選ぶことも重要です。
上昇期待銘柄のリスクと注意点
上昇期待銘柄には、以下のようなリスクや注意点があります。
まず、環境の変化によって予想外の変化が起こる可能性があることです。最近でいえば、新型ウイルスの流行やウクライナ侵攻といった事態が、多くの企業に予想外の変化を引き起こしたといえます。
また、多くの投資家は株価の上昇トレンドが期待できる時に買いたいと考えますが、そのトレンドが継続する保証はありません。上昇トレンドが継続する銘柄でもリスクははらんでいます。
そして、株価の上昇トレンドが期待できる時には、既に株価が高騰している可能性があります。適切なタイミングを見極めなければ、株価下落のリスクに見舞われることでしょう。
上昇期待銘柄の発掘法
上昇期待銘柄の基本的な発掘法としては、主に以下の4つの手法があります。スゴ腕の投資家は、これらの基本を踏まえた上でさらに独自の視点や手法を交えて、銘柄の発掘を試みています。
- 株価チャート分析で見抜く
- 企業業績から発掘する
- 業界動向をチェックする
- ニュースや情報収集で察知する
以下、スゴ腕の投資家も交えつつ、順を追って詳しく説明していきます。
株価チャート分析で見抜く
発掘法の1つめは「株価チャート分析で見抜く」というものです。
データに基づく定量的な分析は上昇期待銘柄の見いだすための基本のひとつといえます。もっとも、データだけ見ていてもわからないことが数多くあるのも事実です。
そこで、チャート分析から上昇期待銘柄を発掘する重要な指標を解説します。
- サポートラインとレジスタンスライン
- 移動平均線
- レンドライン
サポートラインとレジスタンスライン
株価チャート分析において、サポートラインとレジスタンスラインは重要な役割を果たします。
サポートラインは、株価が下落し始めた時に下限となる価格帯を表し、レジスタンスラインは、株価が上昇し始めた時に上限となる価格帯を表します。これらのラインを分析することで、株価の上昇や下落の可能性を予測することができます。
なお、サポートラインとレジスタンスラインの引き方や使い方については、テクニカル分析の専門的な知識が必要です。
移動平均線
移動平均線は、株価チャート分析の中でよく使われる指標の一つです。期間中の株価の平均値を算出し、その平均値をグラフにプロットすることで、株価のトレンドを把握することができます。
移動平均線が株価よりも上にある場合は、上昇トレンドにある可能性が高く、逆に移動平均線が株価よりも下にある場合は、下降トレンドにある可能性が高いとされています。
移動平均線は、株価の変動を平滑化する効果もあるため、短期的な値動きに左右されず、長期的なトレンドを把握するのに役立ちます。
トレンドライン
トレンドラインは、株価の上昇トレンドや下降トレンドを表す直線で、株価の値動きをグラフにプロットした際に、そのトレンドを表す線を引くことができます。
上昇トレンドラインは、株価が上昇傾向にある場合に引かれ、下降トレンドラインは、株価が下降傾向にある場合に引かれます。
トレンドラインは、株価の抵抗線やサポートラインとしても機能し、株価がトレンドラインを上抜けたり下抜けたりすることで、買いシグナルや売りシグナルとして判断することができます。
企業業績から発掘する
発掘法の2つめは「企業業績から発掘する」というものです。
ここであげられている「売上高・利益成長率」や「PER(株価収益率)」「PBR(株価純資産倍率)」をはじめとする企業業績の情報は「会社四季報」を読み込むことで見えてきます。これもまた投資家の基本といえます。
- 売上高・利益成長率
- PER(株価収益率)
- PBR(株価純資産倍率)
売上高・利益成長率
企業業績を判断する指標はいくつもありますが、その中でも売高や利益成長率をみて上昇期待銘柄を発掘する手法があります。
ひとつには、過去の業績から、売上高や利益成長率が高く、今後も継続する可能性がある企業を探す、というものです。
また、決算発表で好決算が出た企業を探し、今後の成長が期待される銘柄を選んだり、業績進捗レベルから、次の四半期や通期決算の業績が上方修正される可能性が高い銘柄を探すのも手です。こういった情報の収集・裏付けには「会社四季報」が役立ちます。
スゴ腕の投資家の中には、単なる成長株というだけでなく、新規事業の開拓などといった「第二の成長」に向けて株価が足踏みしている状態のために割安になっている銘柄を探し出し、そこに投資するという人もいます。
PER(株価収益率)
PER(株価収益率)が低い銘柄を見つけ、将来的に業績が上昇することを期待して投資するのもひとつの方法です。
PER(株価収益率)とは、株価を1株あたりの利益で割った値であり、低いほど企業の収益性が高いことを示します。
この方法は高いリターンを得る可能性もありますが、将来的に企業業績が上昇することを期待して投資するため、投資家にとってはリスクがある方法でもあります。
PBR(株価純資産倍率)
PBR(株価純資産倍率)とは、企業の純資産を株式数で割った値を株価で割ったもので、この値が1以下であれば、株価が割安であると判断されます。
この方法は、企業の業績に基づいて株価の割安・割高を判断する方法の一つであり、上昇期待銘柄の発掘法の一つとして挙げられます。
スゴ腕の投資家の中には、まずこのPBRが低い銘柄に投資することを鉄則とし、その上で売上高営業利益率をチェックしてこれが高い銘柄を投資対象としている人もいます。
業界動向をチェックする
次にあげる発掘法は「業界動向をチェックする」というものです。
株価の動向全体から業界の動向を見出したり、新興業界に注目したり、リアルな消費の空気感を調べることで業界動向を掴んだりと、チェックの仕方は様々です。
- 市場の成長性
- 新興業界の注目銘柄
- 今後の業界展望
市場の成長性
業界動向の中でも、市場の成長性に着目して上昇期待銘柄を発掘する、という方法があります。
成長性の高い市場に属する企業がIPO(新規株式公開)をする場合には、その売出目論見書を通読し、期待が持てる銘柄かどうかを精査することで、投資対象として良いかどうかが見えてきます。
過去最高益を見込み、かつ増益率の大きい銘柄を探していく中で、成長性の高い市場を見出していくこともできます。そのような成長性の高い市場の中で、企業の成長とともに株価が大きく上昇する中小型の銘柄を発掘していくのもひとつの方法です。
あるスゴ腕の投資家は、IPOセカンダリーで銘柄を発掘しています。IPO株の価格は、売り出しで購入して初値で売ったりする人もいることなどから、上場直後に大きく下がる傾向にあります。その一時的に下落した株価が投資に見合う水準かどうか、決算内容などを読み込んで、プラスの材料があれば割安と判断して投資する、というものです。
また、あるスゴ腕の投資家は、複数の企業に共通する業績の傾向から有力テーマを見つけ出し、そのテーマに沿った投資を行うことで利益をあげています。
新興業界の注目銘柄
新興業界の注目銘柄に着目する方法としては、マザーズやジャスダックなどの新興市場の前月末時価総額上位10銘柄をチェックする、というものがあります。
これ以外にも、新興株の中でも増益率が高い銘柄や将来性が高く成長が期待される銘柄を探すという手もあります。
例えば、SBI証券の記事によると、新興市場の時価総額トップであるメルカリ(4385)が2022年に活躍が期待される銘柄の一つとして挙げられていました。
また、ダイヤモンド・オンラインの記事によると、オンライン決済代行の「メタップス」と、半導体関連の「フェローテックホールディングス」が2022年に注目の新興株として紹介されていました。
今後の業界展望
将来的に成長が期待される業界を選定し、その中で有望な銘柄を探すことで、発掘すべき上昇期待銘柄を見いだすことも可能です。
業界動向をチェックすることで、将来的に需要が高まる可能性のある業界を予測することができます。また、業界内のトレンドや技術革新に注目することで、将来的に成長が期待される銘柄を発掘することができます。
このような発掘法は、中長期的な視点で銘柄を選定することができるため、投資家にとって有用な手法の一つと言えます。
スゴ腕投資家の中には、町歩きをする中で肌感覚で消費のリアルを見抜き、将来的に需要が高まりそうな業界や企業を見つけ出してくる人もいます。この投資家はさらにあるビルを30年以上定点観測しており、そこに時代の反映を見出しつつ中長期的な視点での銘柄の選定に活かしています。
ニュースや情報収集で察知する
最後に紹介する発掘法は「ニュースや情報収集で察知する」というものです。
誰もが見ることのできるニュースや情報であっても、その収集を怠らず常にアンテナを張っていれば、上昇期待銘柄の発掘につなげることができます。
特にここで挙げている「特許取得や新製品発表」や「M&Aや提携」「アナリストのレーティング変更」の情報は要チェックです。
- 特許取得や新製品発表
- M&Aや提携情報
- アナリストのレーティング変更
特許取得や新製品発表
企業の特許取得や新製品発表に関する情報を収集し、それを元に上昇期待銘柄を見いだすという方法があります。
企業の特許取得や新製品発表の情報は、その期待感から株価は一時的にも上昇させる傾向があります。さらにそれらが業績向上につながるものであれば、今後も株価の上昇を期待することができるでしょう。
これらの情報は、企業の公式サイトやニュースサイト、証券会社の情報提供サービスなどから入手できます。また、決算書や開示情報からも、新製品の開発状況や特許取得の状況を確認することができます。
M&Aや提携情報
M&Aや提携情報に注目することでも、上昇期待銘柄を発掘することができます。
M&Aによって買収される企業の株価が上昇することがあるため、買収される企業の株価上昇が期待できる銘柄を見つけることができます。
また、提携情報にも注目することで、今後の業績向上が期待できる銘柄を見つけることができます。
アナリストのレーティング変更
アナリストのレーティング変更に注目することもまた、上昇期待銘柄の発掘法の一つです。
アナリストは、企業の業績や市場動向を分析し、銘柄のレーティングを変更することがあります。レーティングが上がると、市場参加者の関心が高まり、株価が上昇する可能性があります。
アナリストのレーティング変更情報は、SBI証券のマーケット情報や日本経済新聞などのニュースサイトで収集することができます。また、楽天証券の投資情報メディアであるトウシルや東洋経済オンラインなどの投資情報サイトでも、アナリストのレポートや予想などが提供されています。
上昇期待銘柄発掘法を活用した投資戦術
ここでは、これまでに述べた上昇期待銘柄発掘法を活用した投資を行う際に重要となってくる戦術について解説します。
これらの戦術は、投資全般に共通するものとも言えます。基本は大事ということです。
タイミングを見極める
上昇期待銘柄に限らず、投資においては「タイミングを見極める」ことは非常に重要です。
株価が上昇しそうな銘柄を発掘したとしても、その投資のタイミングは見極めることは難しいものがあります。売買高の増加や移動平均線上昇トレンド銘柄などの指標を活用するなどしましょう。
また、上昇期待銘柄を発掘して投資を始めたとしても、思ったように上昇が期待できないことも、また環境の変化による予想外の伸び悩み・下落も起こり得ます。こういったときの売却のタイミングもまた、見極めなければなりません。
損切りや利益確定のルールを設定する
これもどのような投資においても共通することですが、「損切りや利益確定のルールを設定」しておくことはとても大切です。
損切りは、株価が下落した場合に損失を最小限に抑えるために行われます。利益確定は、株価が上昇した場合に利益を確定するために行われます。
これらのルールを設定することで、感情的な判断を避け、冷静に投資判断をすることができますし、設定したルールをきちんと守れば、大きな損失を回避することができます。
複数銘柄でリスク分散を図る
あらゆる投資にはリスクがつきものです。上昇期待銘柄発掘法を活用した投資においてもそれは変わりありません。
現時点において明らかに上昇が期待できるような業界・業種であっても、環境の変化によってその目論見が狂うことは往々にしてあります。
例えば、新型ウイルスの世界的流行以前であれば、インバウンドへの期待から観光業などの銘柄は上昇を疑われもしなかったでしょう。しかし、例えばHIS(9603)は株価が半値以下になりました。現在も(2023年5月)新型ウイルス流行前の株価に戻っていません。
こういったリスクを避けるためにも、複数銘柄でリスク分散を図ることは大変重要です。場合によっては業界ごと上昇傾向を失うことも考えられるからです。
あるスゴ腕投資家のおすすめする銘柄も、「第二の成長が期待できる」という同じような観点でも、中古車販売業もあればソフトウェア開発会社もあり、業種が分かれています。これもまたリスク分散のひとつです。。
投資先の業界も多岐にわたるようにすることもおすすめします。
【重要】継続的な情報収集と分析で成功率アップ
先に述べたように、上昇期待銘柄の発掘法にはさまざまな方法がありますが、その多くに共通しているのは、継続的に情報収集し分析することを繰り返している点です。
株価チャートを短期間だけ見てもトレンドは見えてきませんし、「会社四季報」も定期的・継続的に読み込まなければ企業や業界の動向は見えてきません。ニュースなどの情報収集も同様です。特に新興業界であればその動向は時々刻々と変化します。
継続的な情報収集と分析こそが、上昇期待銘柄発掘法を活用した投資の成功率をあげるカギであるといえます。
まとめ
今回は、上昇期待銘柄とは何かについて簡単に説明したのちに、上昇期待銘柄の発掘法をスゴ腕投資家の方法を交えつつ紹介してきました。そして、上昇期待銘柄発掘法を活用した投資戦術についても解説しました。
個別株投資においても、まずは投資や上昇期待銘柄発掘の基本を踏まえることが重要です。なかでも継続的な情報収集と分析が大切です。
これらを踏まえたうえで、スゴ腕投資家の考え方や発掘法を参考にしながら、自分なりの知識や経験を活かして上昇期待銘柄発掘法、個別株投資法を見つけ出し、賢い投資家になることを目指していきましょう。
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