老後はどれくらいお金が必要?2000万円問題とは?老後リスクに備えた資産形成を

老後の生活資金を考えると、不安が募ってきてしまう人もいるでしょう。定年退職をした後も豊かな暮らしをしていくには、どのくらいのお金があったら安心できるのでしょうか。

この記事では、ニュースでも話題になった「2000万円問題」を取り上げ、生活上の様々なリスクも考慮すると老後資金は一体いくら必要なのか、その資金形成をどのようにして進めたら良いかを解説します。

人生100年時代における老後資金

老後の生活が不安になる原因として「本当に寿命が来るまでお金が足りるかどうかがわからない」ということが挙げられます。

現代は「人生100年時代」とも呼ばれていて、本当に100歳近くまで生きることを想定しなければならなくなりました。厚生労働省が発表した令和元年の簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は以下のとおりです。

男性:81.41歳
女性:87.45歳

前年からそれぞれ0.16歳、0.13歳延びた結果となっており、今後も長寿命化が進んでいくと予想されています。定年退職した60歳頃から、少なくとも30年程度は老後の生活が続いていくと覚悟しておいたほうが良いでしょう。

公的年金だけを生活資金として暮らしていくのは厳しいため、豊かな老後を送りたいと考えているのであれば早い段階から資金形成を行うことが不可欠です。

年金や退職金はあてにならない?

老後資金の中心になるのは公的年金と退職金ですが、それも今はあてにならないという話を聞いたことがある人もいるでしょう。

昔は現役を引退すると「国と企業に面倒を見てもらえるから老後は安心だ」と言われていました。しかし、現状としてはこの二つの制度があっても安心できるような状況ではありません。

年金や退職金について、何が問題となっているのでしょうか。

年金制度の問題点

わが国の年金制度は「賦課方式」の考え方をもとに運用されており、高齢者に給付されている年金は現在働いている人たちが年金保険料として納めているお金からまかなわれています。

この考え方で運用すると年金の資金源が尽きてしまうことはありませんが、高齢者人口と労働人口のバランスが崩れて高齢者が多くなると保険料負担が大きくならざるを得ません

少子高齢化が進む現代社会では、その問題が発生しています。

高齢者を支える現役世代の減少

高度経済成長期には、65歳以上の高齢者1人を12人の現役世代が支えていました。しかし、状況は刻々と変わっていて、2065年には高齢者1人を現役世代が1.3人で支えなければならなくなると試算されています。

この問題を考慮して、賦課方式から「積立方式」に移行すべきという声があるのも確かです。しかし積立方式にすると、現役世代は高齢者の受け取る年金を維持しつつ、さらに自分の老後のために積み立てるお金も必要になるため、負担がさらに大きくなってしまいます。

こうした理由により、将来的には年金の給付額が減額される可能性が高いとされており、公的年金をあてにして老後の生活を計画するには大きな不安があります。

退職金も減少傾向

一方、退職金の問題点は、支給される金額がすでに減少してきていることです。

退職金が年々減少

厚生労働省が平成30年に発表した「就労条件総合調査_退職給付(一時金・年金)の支給実態第23表によると、大卒者の退職金の平均額は1,788万円でした。平成25年の調査時は平均1,941万円、さらに平成20年の調査時には平均2,280万円であったことから、退職金は減少傾向にあることがわかります。

仮にこの割合のまま減少し続けたとすると、現在30代の人たちが定年を迎える頃には1,000万円を下回ることになってしまいます。

ただ、この金額は大卒で就職して定年まで働き続けた場合の試算です。定年前に退職すると、受け取れる退職金はもっと少なくなります。そもそも退職金制度がない会社も少なくないため、退職金をまったくあてにできない場合すらあるのが現状です。

さらに、転職をした場合は勤続年数が短いので支給条件を満たさなかったり、金額が少なくなる可能性があります。転職が活発に行われる時代になったことを考慮しても、退職金を老後資金にするという考え方は危険でしょう。

老後資金は「自分で作る」時代へ

以上を踏まえると、公的年金や退職金を生活資金の中心として老後の暮らしを考えるのは難しいと言えるでしょう。現役世代の人たちは「老後資金は自分で用意するもの」だと考えざるを得ません。

先行き不安な時代を長く生きる、そんな時代だからこそ自分の力で蓄えを作り、資金を増やして人生を謳歌できるようにするという前向きな姿勢で資産形成に取り組んでいく必要があります。この考えが、老後も含めた今後の生き方を大きく左右すると言っても過言ではありません。

将来的には年金を受給できる年齢が引き上げられ、給付金額も減り、さらには退職金もほとんど受け取れなくなる可能性があります。それでも安心して老後を過ごせるようにするには、自分自身に頼る他ありません。現代を生き抜くうえでは、資金運用を早い段階で開始して継続していくことが重要となるのです。

「2000万円問題」から考える老後資金の目安

老後に向けた資産形成が必要だとわかると、結局いくらあったら良いのかが気になるでしょう。

老後資金の必要額について考える上では、2019年にメディアでも話題になった「2000万円問題」について触れないわけにはいきません。

ここでは2000万円問題の全体像を改めて確認するとともに、老後資金の目安としてどのくらいを用意すれば良いのかを考えてみましょう。

「2000万円問題」とは

2000万円問題とは、2019年に提出された金融庁審議会の報告書をめぐる老後に備えた資金形成の問題です。

金融庁審議会では、老後資金について報告書で「年金だけでは足りない」「30年間で2000万円が必要」と言及しました。これが各種メディアや評論家などによって取り上げられて話題になり、多くの人が老後に不安を抱えるようになりました。

金融庁審議会 市場ワーキンググループの報告書

報告書では、年金のみで生活している夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦世帯が老後に20~30年生活するには、毎月平均約5万円不足してしまうと言及しています。そして、それを総額で考えると、年金とは別に1,300万円~2,000万円の老後資金が単純計算では必要だというものです。

当時は「年金があれば老後の生活は安心だ」と思っていた人も多かったため、国がこのような報告をしたことに対して衝撃を受けた人も少なくありませんでした。それと同時に、老後に向けて資金をどうしたら良いかを慌てて考えなければならない状況へと陥ったのです。

2000万円の計算根拠

金融庁審議会の報告書に記載されている2,000万円という金額には、明確な根拠があります。

先述のとおり、報告書では「毎月の不足額が約5万円になるから30年ではおよそ2,000万円が必要」と計算されていますが、この毎月の不足額についても客観的なデータに基づいています。

「不足額5万円」の計算根拠

総務省が公表している平成29年の「家計調査年報(家計収支編)II 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」27ページ(表Ⅱ-1-3)を参照すると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職夫婦世帯の平均支出は毎月26.4万円です。続く28ページ(表Ⅱ-1-4)では、現状として公的年金で受け取れる金額が19.1万円で、その他の収入を合わせても実収入が毎月20.9万円とされています。

この差を取れば確かに約5万円なので、金融庁の報告書には確かに正しいことが書かれているとわかります。つまり「老後資金が不足するかもしれない」と漠然と考えていた段階から、この報告によってどれくらい足りなくなるかが数字で示されたわけです。

このように金額が具体化されたことで現実の問題として認識させられ、老後資金に対して不安を抱える人が多くなったと言えるでしょう。

2000万円以上の不足が生じる可能性も

しかし、現実的な問題として、老後30年間に必要になる資金は2,000万円以上になる可能性があります。「毎月約5万円不足する」というのは、あくまでも平均的な家計から単純計算した結果だからです。

人によって老後のライフスタイルには違いがあり、どの家庭でも同じような支出があるわけではありません。年金の受給額も平均値を見ているので、実際には現役時代にどのくらい稼いでいたかによって違いが生じます。

また、公的年金で受給できる金額が、今のまま30年間変わらないと想定して計算されている点にも注意が必要な点です。

約30年後の年金はどうなるのか

2019年に発表された厚生労働省の「財政検証 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(14ページ)では、現時点におけるモデル世帯(会社員と専業主婦の65歳夫婦)の所得代替率は61.7%ですが、およそ30年後の2046年には経済がやや成長を続けたと想定しても51.9%まで下がると試算されています。

つまり、公的年金による収入が予定よりも少なくなり、さらに生活資金が不足することも十分に考えられるのです。

このような状況を考慮すると、やはり資金形成を早い段階で始めて老後に備えるのが賢明と言えるでしょう。

考慮しておくべき老後の金銭的リスク

2000万円以上の老後資金が必要なことに加えて、突然の出費などへの対応も必要になるでしょう。老後の生活では、金銭的リスクが発生し得ることも考慮しておくのが大切です。

老後になると現役時代に比べてリスクとして念頭に置いておくべきものが多くなります。その中でも、大きな金銭的負担が生じる可能性が高いリスクについて、具体的に確認しておきましょう。

健康に関するリスク

老後になると、健康に関するリスクを懸念する必要が生じます。

確かに日本人の平均寿命は延び続けていますが、年齢を重ねるほど病気やケガのリスクが高まるので医療費がかさんでしまいがちです。高額医療が必要になるケースも多く、入院費や手術費、医薬品の購入代金などを積み上げていくとかなりの金額になるのは想像できるでしょう。

医療費は増加傾向

厚生労働省が発表した「平成30年度 医療費の動向-MEDIAS- 表2-1:1人当たり医療費の推移」によると、平成30年度の75歳以上の人の医療費は年間で93.9万円、1ヵ月あたりで計算すると7.8万円です。

実際には継続的に必要になる医療と、手術のようにまとまって一度に必要になる医療があるので、医療費による支出は波があるのは確かです。しかし、様々な病気を抱えてしまうともっと大きな医療費を支払い続けなければならない場合もあるでしょう。

少なくとも、老後は医療費だけで毎年平均100万円程度は必要になると理解しておくのが賢明です。

住まいに関するリスク

また、老後は住まいに関するリスクがあることも考慮しておかなければなりません。

ずっとマイホーム生活をしてきた場合は、老後も住み慣れた家に住み続けたいと思うでしょう。そのためには、定期的に修繕をして家屋の状態を維持していく必要があります。また、年齢を重ねるに従って身体能力も低下してきてしまうので、バリアフリーへのリフォームが必要になる可能性もあります。

また、マイホーム生活では常に地震などの自然災害や火災などによる被害を受けるリスクも念頭に置いておかなければなりません。台風や豪雨によって大規模な修繕を余儀なくされ、想定外の出費が発生することもあるでしょう。このような様々な事態に備える資金も用意する必要があるのです。

また、年齢や健康状態によっては、高齢者施設への入居を検討しなくてはならない可能性もあります。サービスの利用料金の支払いが増え、生活のあり方も変わるので、生活費の必要額も変化するでしょう。介護が必要になってからの住まいについても考えて、将来計画を練らなくてはなりません。

増税やインフレによるリスク

老後までまだ年月があるという人もいるかもしれませんが、さらに老後に突入してからも30年くらいは生きることになるでしょう。その間に世の中の経済も大きく変動すると考えられるため、増税やインフレが起こるリスクもあります。

少子高齢化の影響もあって、日本でも消費税の増税が行われました。当初は3%だった消費税も5%を経て8%になり、今では食品などに軽減税率が適用されているとはいえ10%の消費税率となっています。

しかし、10%という値は他国に比べて高いというわけではありません。商品の種類によって20%以上もの消費税率を設定している国も多数あります。その状況を加味すると、消費税はまだ上がると考えざるを得ません。その他の税金についても増税のリスクがあり、支出の負担が大きくなるリスクがあるのは確かです。

さらに、インフレになれば物価が上がるので消費支出が大きくなります。老後資金として必要な金額は、増税やインフレの影響を受けてさらに大きくなる可能性があるのです。

老後に備えた資産形成を若いうちから始めるメリット

老後資金の準備が必要だとわかっても、若い世代の方は「まだ老後の時期はだいぶ先の話だから、もっと後になってから考えても十分間に合う」と思うかもしれません。

しかし、老後資金への対策はできるだけ若いうちから始めるのが大切です。老後が目の前に見えてきてから始めるのに比べて、早いタイミングで資金形成を開始するとどのようなメリットがあるのかをご説明します。

低リスクで着実な資産運用が可能

若いうちから資産形成を始めておくと、資産運用の様々なリスクを低減できるのがメリットです。

定年が目前に迫ってきてから老後資金を手に入れようとすると、短期間で多額の収入を得なければなりません。資金運用によって老後資金を獲得する場合には「ハイリスクハイリターン」の方法を選ばなければならないでしょう。

大きなリターンを得ようとすれば損失を生む可能性も高くなるのが資金運用の特徴です。元金まで全て失ってしまって、途方に暮れてしまうことも往々にしてあります。

しかし、まだ十分に若いうちから資産運用を始める場合は、運用期間が十分にあるためローリスクローリターンの方法を選んで資金を運用することが可能です。着実に利益を生み出していけば、長期的に見れば大きな資金形成ができるでしょう。

長い時間をかけることで、安心して老後の生活を迎えられるような大きな資産を築き上げられる可能性が高いと考えられるのです。

複利効果が大きい

長期的な資金運用を行えることにより複利効果が得られるのも、若いうちから始めるメリットです。複利計算をしたことがある人ならすぐにイメージできることでしょう。

長期運用による複利効果

例えば10万円を年間複利7%の利回りの金融商品を選んで投資したとします。1年後には10万7000円になり、2年後にはその107%に相当する11万4490円になります。このように同じ利回りで運用を続けられたとしたら、だんだんと利息が大きくなっていき、10年後には2倍、15年後には2.7倍になります。

利息が次の運用に使われることで利得が増大するのが複利効果です。期間が長ければ長いほど複利効果は大きくなるので、1年でも早く資金運用を始めるのが有利と言えます。

資産運用のための資金を確保しやすい

また、若いうちのほうが資産運用のための資金を確保しやすい傾向があります。

結婚して子供が生まれると子育てに費用がかかり、親の介護が必要になるとその出費もかさんでいくでしょう。すると生活にも余裕がなくなり、資金運用に任せる金額が少なくなりがちです。

まだ独身で働いている間や、結婚して共働きをしている間なら自由に使えるお金は確保しやすいでしょう。収入が少なかったとしても、資産運用は余剰資金があれば開始できます

若くて低収入だからといってためらう必要はなく、むしろ少額資金でも運用して資産形成につなげるのが大切です。そして、その資金を運用していけば複利効果も受けて大きな資産形成になると期待できます。

老後に備えた資産形成の方法

老後に備えるうえで、どのような方法で資産形成をするのが良いか迷ってしまう人もいるでしょう。

最後に、資産形成のための具体的な運用方法としてはどのようなものがあるかをご紹介します。それぞれのメリットやデメリットもわかりやすく解説するので、老後資金を準備するにはどの方法を選んで資産形成に取り組んでいくのが良いのかをじっくりと考えてみましょう。

預貯金

預貯金は最もよく知られている資金運用の方法です。現在は低金利政策の影響により、普通預金で増やすことは難しいですが、定期預金や積立預金を使えば少し金利が良くなります。

預貯金は元本が失われる可能性が極めて低いので、安心して運用できるのがメリットです。しかし、定期預金でもせいぜい年利0.5%程度なので、あまりお金が増えるとは期待しない方が良いでしょう。老後に確実に使える資産を貯めておくのに使うものだと捉えて、投資と併用するのが無難です。

勤務先の企業によっては「財形貯蓄制度」を利用できる場合があります。財形貯蓄の中には老後の生活資金形成を目的とする年金貯蓄があるので確認してみましょう。

年金貯蓄は60歳以降に受け取りが可能で、元利合計550万円までは非課税になります。給料から天引きで積み立てることができるため、確実性が高くて管理もしやすいのも財形貯蓄制度のメリットです。ただし年利は低いので、やはり資金を増やすことにはつながりにくいでしょう。

つみたてNISA(少額投資非課税制度)

つみたてNISAは、NISA(少額投資非課税制度)の中でも積み立てによって資金運用ができるのが特徴です。

「NISA」と「つみたてNISA」

NISAは個人の投資による資産形成を後押しする目的で2018年から導入されている税制優遇制度です。つみたてNISAは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度となっています。

つみたてNISAは毎年40万円まで金融商品を購入することができ、2018年~2037年の最長20年間という長い非課税期間が設けられているのが魅力です。

投資対象が限られているのはデメリットですが、販売手数料がゼロ、頻繁に分配金が支払われないなどの投資初心者にとって取り組みやすい条件が揃っています。分散投資もしやすいので、リスクが低い運用を継続的に行っていくのに適しています。

なお、つみたてNISAの口座とNISAの口座はどちらか一方しか選べない点には注意が必要です。若いうちから長期投資で老後資金を準備できるようにしたいなら、長期運用が可能なつみたてNISAを選ぶと良いでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金として毎月お金を積み立てていき、その掛金を運用した結果としてできた資産を老後に受け取れるのが特徴です。

iDeCoとは

iDeCoは確定拠出年金法に基づく私的年金制度で、自分で申し込みを行い、自分で運用方法を選んで掛金を運用します。 掛金とその運用益の合計額は「老齢給付金」として60歳以降に受け取ることが可能です。

iDeCoの掛金は毎月5,000円から1,000円単位で決められるので、資金的な余力の範囲内で積み立てができます。上限額は加入者の属性によって決まる仕組みになっていますが、公務員などの上限が低いケースでも1.2万円、自営業者などの上限が高いケースでは6.8万円まで毎月の積み立てが可能です。

掛金は全て所得控除の対象になるので、所得税の負担を軽減することにもつながります。運用によって得られた利益が非課税なのもメリットでしょう。

なお、iDeCoは受け取り方が退職金と同じで「一時金」と「年金」の2通りから選べます。退職金制度のない会社で働いている人や自営業者などは、一時金の代わりにする目的でiDeCoによる資産運用をしていることもあります。一時金の場合には退職所得となるため、状況によっては大きな節税になるでしょう。

投資信託

投資信託は、株式や債券への投資・運用を金融機関の専門家に任せる仕組みの金融商品です。

投資信託とは

投資家から集めたお金をまとめて一つの資金として、専門家が株式や債券などに投資・運用を行います。その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じた分配金として支払われます。

個人で株式や債券などに投資するためにはまとまった資金が必要になりますが、投資信託では1万円程度の少額投資が可能なのがメリットです。

また、投資信託は金融機関のファンドマネージャーが集めた資金を複数の金融商品に投資します。そのため、少額投資であるにもかかわらず分散投資によるリスクの低い運用が可能です。

プロに運用を任せられるので投資初心者でも取り組みやすいのも魅力ですが、自分で何にいくら投資するかを指定することはできません。そのため、ファンドマネージャーの運用の力量によって利益が左右されやすいのがデメリットと言えます。

投資信託を始める際には、商品の内容を詳しく確認するだけでなく運用する人の能力まで見極める必要があるということを頭に入れておきましょう。

株式投資

株式投資は、企業が発行している株式を売買して利益を得る投資方法です。株式価格の値上がりによる利益(キャピタルゲイン)が得られることがよく知られていますが、株主への配当金や株主優待(インカムゲイン)を受けることもできます。

従って、利益を上げて成長している企業の株式は、長期保有しているだけで安定的に収益を得られるのが魅力です。

一方、短期的な株式の売買は、大きなリターンが期待できる一方でややリスクの高い投資方法として知られています。一般的に資産形成をする手法としては難しいでしょう。

まとめ

老後資産は公的年金や退職金だけでは十分とは言えない状況になり、安心して生活できるように老後資金を自分の力で作る時代となっています。

2000万円問題を聞いて老後の生活に不安を持った人も、今から老後の資金準備を始めれば豊かな生活を送れる可能性は十分にあるので、諦める必要はありません。

特に若いうちから資産形成を始めれば低リスクの運用が可能で、なおかつ複利効果も生かすことができます。預貯金だけでなく、つみたてNISAやiDeCo、株式投資のように長期投資で老後対策に役に立つ金融商品もたくさんあります。

どの投資方法にもメリット・デメリットがあるので、一つにこだわる必要はありません。長所を生かしつつ、短所を補うように上手に併用して、老後に安心して暮らせるように資金を築き上げていきましょう。