老後を迎えたときに、どのくらい年金の給付を受けられるのかを心配に思う人が増えています。
あなたの年金は一体いくらになるのでしょうか。
この記事では年金の仕組みの変化について紹介した上で、職業と年収ごとの年金額について試算した内容を紹介します。
その結果を見て、今後どうしていくべきかを考えてみましょう。
年金の仕組みは変化している
年金制度は国民の老後の生活を守る目的で運用されており、時代とともに少しずつ変化しています。
しかし現在は「2000万円問題」や「年金2割減」といった老後の生活や資金に対する心配が募るような報道が多くあるのも事実です。
国は国民のために年金制度を改正しているはずなのに、期待や信頼感よりも不安のほうが大きくなるような状況になるのは一体なぜでしょうか。
その理由の一つとして頭に入れておきたいのが「マクロ経済スライド」です。
将来的に年金がどれくらいもらえるかを見る前に、まずはマクロ経済スライドの仕組みを理解しましょう。
マクロ経済スライドとは
マクロ経済スライドとは、平成16年の年金制度改正時に導入された給付水準の調整を行う仕組みです。
現代は平均寿命の延伸により高齢化が加速していますが、年金制度を支える現役世代の割合は少子化の影響で減少しています。マクロ経済スライドは、こうした社会情勢に合わせて年金の給付額を減らすことで現役世代の保険料負担を軽減することを目的として導入されました。
平成16年以前の年金は物価や賃金の上昇率に合わせて給付額が増える仕組みになっていました(物価スライド)。しかし、このまま少子高齢化によって現役世代が減少していくと、現役世代の保険料負担はどんどん重くなり、やがて年金財政が危機に陥ることになりかねません。
この社会課題の解決策として、年金給付額の上昇を物価や賃金の上昇率以下に抑えることとしたのがマクロ経済スライドです。
実質的には年金給付額の減額を意味する仕組みですが、年金受給者にも現役世代の一部を共有してもらい、年金問題を社会全体として取り組むべき課題としています。
「年金2割減」は本当か
2019年には「将来の年金が2割減る」という報道があり、多くの国民に衝撃を与えました。その背景には同年8月末に厚生労働省が発表した「財務検証」の結果があります。
この財務検証では、2115年までの経済・人口・労働力などを俯瞰した6つのケースを想定し、マクロ経済スライドによって年金給付額が調整されるとどうなるのかを所得代替率で示しています。
年金を受け取る65歳時点における年金額が、現役世代の手取り収入と比較してどのくらいの割合になるかを示す指標です。たとえば、所得代替率50%といった場合は、そのときの現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取れるということになります。
モデル世帯となっているのは「平均的な賃金の会社員で60歳まで40年間厚生年金に加入していた夫と専業主婦の妻」で、2019年度の所得代替率は61.7%です。
試算結果はケースによって異なり、6つのケースのうち経済成長と女性や高齢者の労働参加がある程度進むと想定された3つのケースでは所得代替率50%代を維持していますが、それでも2019年と比較するといずれも2割程度減少する見込みとなっています。
つまり各メディアが報じた「年金2割減」は、この数字が元になっていたというわけです。
さらに経済成長率がほぼ横ばいのケースでは所得代替率が50%を割り込み、もっとも最悪なケースでは2052年度には国民年金の積立金が枯渇し、所得代替率30%台にまで落ち込むとされています。
将来の年金はどれくらい?職業・年収別の試算結果
では、あなたが老後を迎える際には、一体どれくらいの年金を受け取れるでしょうか。
ここからは、2019年の財政検証の結果をもとに「65歳から年金をもらう場合の想定年金額」を試算した結果を働き方や年収別にご紹介していきます。
前項でご覧いただいたとおり、マクロ経済スライドによる年金額の調整は社会情勢に合わせて行われるため、試算結果も「楽観」「やや悲観」「悲観」の3ケースとなっています。
現時点でのご自身の年齢と照らし合わせて確認してみてください。
- 2019年に厚労省が発表した「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し(詳細結果)」から試算。経済前提のうちケースⅠを「楽観」、Ⅳを「やや悲観」、Ⅵを「悲観」とします。人口前提は中位です。
- 結果のうち「法律上の給付水準の下限を無視して年金財政がバランスするまで機械的に給付を調整(抑制)した場合」を利用しています。
- 年金額は将来の金額を賃金上昇率で現在の価値に換算したものです。
自営業者・フリーランスの場合
まず最初は、自営業・フリーランスとして働いている人のケースを紹介します。
自営業者・フリーランスの場合(年収不問・基礎年金のみ) | |||
年齢 | 楽観 | やや悲観 | 悲観 |
65歳 | 6.5万円 | 6.5万円 | 6.5万円 |
60歳 | 6.3万円 | 6.3万円 | 6.3万円 |
55歳 | 6.0万円 | 6.0万円 | 6.0万円 |
50歳 | 5.7万円 | 5.6万円 | 5.7万円 |
45歳 | 5.2万円 | 5.1万円 | 5.5万円 |
40歳 | 4.8万円 | 4.7万円 | 5.2万円 |
35歳 | 4.8万円 | 4.3万円 | 5.0万円 |
30歳 | 4.8万円 | 4.1万円 | 3.5万円 |
25歳 | 4.8万円 | 4.1万円 | 3.5万円 |
(出典:日経マネー 2021年1月号 p24「65歳からの年金、あなたはいくらもらえる?」 )
自営業者・フリーランスの人が将来受け取れる公的年金は基礎年金のみです。
そのため、想定される年金額も他のケースに比べると少なくなっていて、現在65歳の人は6.5万円がもらえますが、若い世代になるとさらに少なく25歳の人は3.5万円~4.8万円です。
いずれにしても生活費の足しにはなるものの、住居費を確保できるかどうかという程度でしょう。老後の資金は自分で用意する覚悟が必要だということがわかります。
独身・会社員の場合
続いては、独身で会社員として働いている人のケースをご紹介します。ここからは年収別の試算結果についても見ていきましょう。
年収年収700万円の場合 | |||
年齢 | 楽観 | やや悲観 | 悲観 |
65歳 | 18.5万円 | 18.5万円 | 18.5万円 |
60歳 | 18.4万円 | 17.9万円 | 17.9万円 |
55歳 | 18.1万円 | 17.0万円 | 16.9万円 |
50歳 | 17.7万円 | 16.6万円 | 16.1万円 |
45歳 | 17.2万円 | 16.1万円 | 15.4万円 |
40歳 | 16.8万円 | 15.7万円 | 14.7万円 |
35歳 | 16.8万円 | 15.3万円 | 14.1万円 |
30歳 | 16.8万円 | 15.1万円 | 12.1万円 |
25歳 | 16.8万円 | 15.1万円 | 11.9万円 |
(出典:日経マネー 2021年1月号 p24「65歳からの年金、あなたはいくらもらえる?」 )
年収年収500万円の場合 | |||
年齢 | 楽観 | やや悲観 | 悲観 |
65歳 | 15.1万円 | 15.1万円 | 15.1万円 |
60歳 | 14.9万円 | 14.6万円 | 14.6万円 |
55歳 | 14.6万円 | 13.9万円 | 13.8万円 |
50歳 | 14.2万円 | 13.5万円 | 13.2万円 |
45歳 | 13.8万円 | 13.0万円 | 12.6万円 |
40歳 | 13.4万円 | 12.6万円 | 12.0万円 |
35歳 | 13.4万円 | 12.2万円 | 11.5万円 |
30歳 | 13.4万円 | 12.1万円 | 9.6万円 |
25歳 | 13.4万円 | 12.1万円 | 9.6万円 |
(出典:日経マネー 2021年1月号 p24「65歳からの年金、あなたはいくらもらえる?」 )
会社員の場合は基礎年金と厚生年金の両方を受け取れます。そのため自営業者に比べると社会経済の影響は少なくなりますが、年収700万円と年収500万円の人では年金額に開きがあります。
仮に楽観ケースに相当する金額がもらえた場合、一人暮らしであれば家計をうまくやりくりして年金だけで生活することもできるかもしれません。
ただし、急な病気などで大きな出費があったときのための備えを用意しておく必要はあるでしょう。もちろん、ゆとりのあるライフスタイルを望むのであれば年金額以上のお金がかかることになります。
夫婦ともに会社員の場合
では、結婚して夫婦ともに会社員として働いている世帯の場合はどのようになるでしょうか。夫の平均年収が700万円と500万円の2パターンを見てみましょう。いずれのパターンも妻の平均年収は300万円です。
夫の年収平均700万円・妻の年収平均300万円の場合 | |||
年齢 | 楽観 | やや悲観 | 悲観 |
65歳 | 30.2万円 | 30.2万円 | 30.2万円 |
60歳 | 29.8万円 | 29.2万円 | 29.2万円 |
55歳 | 29.3万円 | 27.7万円 | 27.6万円 |
50歳 | 28.5万円 | 26.9万円 | 26.3万円 |
45歳 | 27.6万円 | 26.0万円 | 25.2万円 |
40歳 | 26.7万円 | 25.2万円 | 24.0万円 |
35歳 | 26.7万円 | 24.4万円 | 23.0万円 |
30歳 | 26.7万円 | 24.1万円 | 19.2万円 |
25歳 | 26.7万円 | 24.1万円 | 19.1万円 |
(出典:日経マネー 2021年1月号 p25「65歳からの年金、あなたはいくらもらえる?」)
夫の年収平均500万円・妻の年収平均300万円の場合 | |||
年齢 | 楽観 | やや悲観 | 悲観 |
65歳 | 26.8万円 | 26.8万円 | 26.8万円 |
60歳 | 26.4万円 | 25.9万円 | 25.9万円 |
55歳 | 25.8万円 | 24.6万円 | 24.5万円 |
50歳 | 25.0万円 | 23.8万円 | 23.3万円 |
45歳 | 24.1万円 | 22.8万円 | 22.3万円 |
40歳 | 23.4万円 | 22.0万円 | 21.3万円 |
35歳 | 23.3万円 | 21.3万円 | 20.4万円 |
30歳 | 23.3万円 | 21.0万円 | 16.8万円 |
25歳 | 23.3万円 | 21.0万円 | 16.6万円 |
(出典:日経マネー 2021年1月号 p25「65歳からの年金、あなたはいくらもらえる?」)
共働きをすれば夫婦を合わせた年収が高くなるので受給額は大きくなります。ただ、二人暮らしでは生活費も二人分なので、切り詰めた生活をしなければならないことに違いはありません。
特に経済発展が期待できないケースでは、老後の資金を別途用意しておく必要性が高いとわかります。
夫が会社員・妻がパート勤務の場合
最後にご紹介するのは、夫が会社員、妻がパートで働いている共働き世帯のケースです。こちらも夫の平均年収が700万円と500万円の2パターンを見てみましょう。いずれのパターンも妻の平均年収は100万円です。
夫の年収平均700万円・妻の年収平均100万円の場合 | |||
年齢 | 楽観 | やや悲観 | 悲観 |
65歳 | 25.0万円 | 25.0万円 | 25.0万円 |
60歳 | 24.7万円 | 24.2万円 | 24.2万円 |
55歳 | 24.1万円 | 23.0万円 | 22.9万円 |
50歳 | 23.3万円 | 22.2万円 | 21.8万円 |
45歳 | 22.4万円 | 21.3万円 | 20.9万円 |
40歳 | 21.6万円 | 20.4万円 | 20.0万円 |
35歳 | 21.6万円 | 19.7万円 | 19.1万円 |
30歳 | 21.6万円 | 19.4万円 | 15.5万円 |
25歳 | 21.6万円 | 19.4万円 | 15.4万円 |
(出典:日経マネー 2021年1月号 p25「65歳からの年金、あなたはいくらもらえる?」)
夫の年収平均500万円・妻の年収平均100万円の場合 | |||
年齢 | 楽観 | やや悲観 | 悲観 |
65歳 | 21.6万円 | 21.6万円 | 21.6万円 |
60歳 | 21.3万円 | 20.9万円 | 20.9万円 |
55歳 | 20.7万円 | 19.9万円 | 19.8万円 |
50歳 | 19.9万円 | 19.0万円 | 18.9万円 |
45歳 | 19.0万円 | 18.1万円 | 18.0万円 |
40歳 | 18.2万円 | 17.3万円 | 17.2万円 |
35歳 | 18.2万円 | 16.6万円 | 16.5万円 |
30歳 | 18.2万円 | 16.3万円 | 13.1万円 |
25歳 | 18.2万円 | 16.3万円 | 13.0万円 |
(出典:日経マネー 2021年1月号 p25「65歳からの年金、あなたはいくらもらえる?」)
65歳の人の年金額は夫の平均年収が700万円の場合で25.0万円、500万円の場合で21.6万円となっています。25歳の人はそれぞれ15.4万円~21.6万円、13.0万円~18.2万円で、妻も会社員として勤務しているケースに比べると30%程度少ないという試算結果です。
今後の経済動向がどうなるかにかかわらず、やはり老後資金を用意しておかないと生活が苦しくなってしまう可能性が高いと言えるでしょう。
試算結果を通じてわかること
経済成長と労働参加が促進することを想定した「楽観」のケースでは、マクロ経済スライドによる調整は2046年で終了するため、35歳以下の年金額は同じです。
一方、基礎年金の積立金が枯渇することを想定した「悲観」のケースでは、減額が相次ぐ厳しい結果となりました。完全にもらえなくなるわけではないとはいえ、年金だけで豊かなシニアライフを送ろうと考えるのは厳しいものがあります。
特に、相対的に減額率が大きい低所得世帯は注意が必要です。これは厚生年金よりも基礎年金の方が将来的な減額率が高いためで、基礎年金部分の割合が大きい低所得世帯は現役世代のうちにいかにして対策を行うかが重要な課題となりそうです。
年金制度改革後はどう変わる?
こうした状況を踏まえて、2020年5月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」が成立しました。
試算結果をみて不安になった方も、国の施策を利用して将来受け取れる年金額を増やすことができるかもしれません。
新制度が施行されると何がどのように変わるのでしょうか。変更点を一つずつ見ていきましょう。
厚生年金の加入拡大
まず、今回の年金制度改正によって被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲が拡大されます。
現行では従業員が500人超の事業所で働いているパートなどの短時間勤務者は厚生年金の対象ではありません。この基準が段階的に引き下げられ、2022年には100人超規模、2024年には50人超規模の事業所まで適用範囲が拡大します。
つまり厚生年金・健康保険の被保険者となることで、短時間勤務の人たちも将来は基礎年金に上乗せという形で厚生年金を受け取ることができるようになるのです。
具体的には、以下の要件にすべて該当する人が適用拡大の対象となっています。
- 勤務先の従業員数(パートタイム除く)が2022年10月以降は100人超規模、2024年10月以降は50人超規模
- 週所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生ではない
在職老齢年金制度の見直し
また、年金制度改正によって在職老齢年金の見直しが行われます。
在職老齢年金とは、60歳以降も働きつつ年金も受け取る場合には給与と年金の合計額が一定以上に達すると年金の給付が全部または一部停止される制度です。
今まで60歳から64歳までの人たちは、賃金と厚生年金の合計額が月28万円を超えると年金額を減らされていましたが、2022年4月からはこの基準が47万円に引き上げられます。
定年以降も働き続ける人が増えていることを鑑みた対応で、働くことに対してのモチベーションを高めることを視野に入れています。
なお、65歳以上の人たちの在職老齢年金については現行でも基準が47万円となっており、今回の制度改正による変更はありません。
年金受給開始年齢の繰下げ
さらに、制度改正によって年金の受給開始時期の選択肢も拡大されます。
公的年金は原則65歳から受け取りが可能ですが、現行では希望すれば「60~70歳」の間で受給開始時期を選択できます。65歳より早く受給を開始(繰上げ受給)した場合は減額(最大30%)した年金を、65歳より遅く受給を開始(繰下げ受給)した場合は増額(最大42%増額)した年金を、それぞれ終身にわたって受け取る仕組みです。
今回の制度改正では繰下げ制度についての見直しが行われ、2022年4月からは年金受給開始時期の上限が75歳に引き上げられます。
繰下げ増額率は1ヶ月0.7%で変わりませんが、仮に75歳まで受給開始時期を繰下げた場合には、65歳から受給を開始するよりももらえる年金額が多くなります。10年間の繰り下げによって「0.7%×10年×12カ月=84%」も増額になるのです。
なお、年金開始時期の上限の引き上げの対象となるのは2022年4月以降に70歳になる方(昭和27年4月2日以降に生まれた方)で、現在65歳となっている年金支給開始年齢の引き上げは行われません。
今からできる老後資金づくりへの取り組み
ここまでご覧いただいたように、今回の制度改正によって年金を取り巻く状況はやや改善する可能性はありますが、やはり公的年金だけでは老後の不安を拭うことはできません。
このような状況を踏まえて年金減に立ち向かうには、やはり早い段階から老後資金づくりを始めることが不可欠と言えます。
最後に、老後資金づくりに向けた取り組みを具体的にご紹介します。ご自身の収入やライフスタイルにあわせて、できることから着実に取り組んでいきましょう。
貯蓄や投資のための資金を作る
まず、老後資金対策の第一歩となるのは貯蓄です。収入の一部を無理のない範囲で貯蓄に回して、投資で運用するための資産を増やしていきましょう。
「現状では貯蓄をするのは難しい」という方もいるかもしれませんが、家計を見直してみると節約できるポイントは意外にあるものです。何にいくらのお金がかかっているかを明確にすると、節約できそうな項目が見えてくるでしょう。
特に注目したいのは、光熱費や通信費といった「固定費」です。
電気料金がお得になる電力会社に切り替える
スマホの料金プランから使わないオプションを解約する
など、節約額が多そうなところから見直していくことをおすすめします。
「iDeCo」や「つみたてNISA」を活用する
余剰資金ができてきたら、投資による運用を始めましょう。
今は低金利政策の影響で、銀行にお金を預けておいてもほとんど増えません。日本政府が掲げる「貯蓄から投資へ」のスローガンからもわかるように、お金は預貯金に眠らせるのではなく元手として積極的に働かせるという考え方が必要な時代になったのです。
国もそれをバックアップするために「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」といった少額の掛金で長期的な積立投資ができる制度を設けていますので、積極的に活用しましょう。
毎月少しずつでも、早い段階からスタートして長期間継続することで、将来的には大きな金額になります。
収入を上げる
また「将来もらえる年金額を増やす」ということを視野に入れて、現役のうちの収入を上げるというのも対策の一つです。
共働きの夫婦であれば、妊娠や出産、育児や介護といったタイミングで妻が離職して専業主婦になるというパターンが考えられますが、妻が離職すると世帯全体の収入が低下するだけでなく、基礎年金に上乗せされる厚生年金の部分も少なくなってしまいます。各種支援制度を活用して、継続して働くことを目指しましょう。
世帯としての年収が上がれば、貯蓄や投資に回せるお金も確保しやすくなります。夫婦で協力して、無理なく共働きを続けられるように考えていきましょう。
老後も働き続けるための準備をする
定年退職してからも働き続けられるように、若いうちから準備をするのも大切です。
基礎年金を満額で支払っている場合は、60歳以降も働いて厚生年金に継続して加入することで厚生年金の部分を増やすことができます。基礎年金に未納分がある場合にも、厚生年金に加入し続けると老齢厚生年金の経過的加算額が支給され、未納分による不足を穴埋めすることが可能です。
働き続ければ収入も確保できるので、生活費を工面しやすくもなります。若いうちから健康維持に努めると同時に、将来的に役立つ資格や免許を取得するための勉強を始めるなどして、定年後も労働力として社会貢献ができるようにしておくと良いでしょう。
まとめ
年金制度の改正によって、老後に受給できる金額は現在よりも少なくなる見通しです。今回ご紹介した想定年金額の試算結果からは、安心して老後を迎えるためには十分な生活資金を用意しておく必要があるということがわかります。
老後に備えた資産形成は、早い段階から始めて長く続けることが大切です。収入を増やしつつ支出を減らす工夫を行い、余剰資金を作ることから始めてみましょう。
そのうえで「iDeCo」や「つみたてNISA」などを活用していけば、年金だけに頼らずとも豊かな老後を叶える資金形成ができるはずです。
- ウェルスパス投資顧問代表 渡邉
- 複数の大手外資系証券会社で日本株式ディーリング業務に計20年以上従事。運用結果がシビアに評価される中で最大1,000億円の運用を任される。特に、成長株の分析及び投資戦略が得意。
現在は、ウェルスパス投資顧問(関東財務局長(金商)第3014号、一般社団法人日本投資顧問業協会所属)の代表 兼 銘柄分析者 兼 投資助言者として会員へアドバイスを行う。
公式サイト
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- 平島 宏樹
- 業界大手「確定拠出年金教育支援協会」に所属するファイナンシャルプランナー。
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