資産運用には、ポートフォリオが重要。そもそもポートフォリオって?

資産運用について調べていると「ポートフォリオ」という言葉がよく登場します。

ポートフォリオを考えて資産運用をするのが成功につながるといった話も見受けられますが、ポートフォリオとは何かわからずに困ってはいないでしょうか。

この記事ではポートフォリオの本当の意味を解説したうえで、その基本的な組み方まで紹介します。

ポートフォリオとは何か

まずはポートフォリオの意味を正しく理解しましょう。

ポートフォリオという言葉を聞いて何となくイメージを持っていた人も、本当は何を意味しているかをあらためて知るとポートフォリオを組む意義が見えてくるでしょう。

ここではそもそもポートフォリオが何なのか、なぜ重要だと言われているのかをわかりやすく解説します。

ポートフォリオは「資産の組み合わせ」

ポートフォリオとは、端的に言えば「様々な資産の組み合わせ」です。

株式投資を例に取ると、一つの銘柄に全ての資金を投じるのではなく、いくつかの銘柄に資金を分配して複数の種類の資産を持つことを指します。

株式に限らず、債券や外貨などにも分散させて異なる性質の資産を組み合わせて保有することも可能です。株式でも国内だけでいくつかの企業に投資することもできますが、海外株式も候補に入れるとさらに幅が広がっていきます。

このようにポートフォリオは自由に決められますが、ポートフォリオをどのように定めたかによって資産運用の仕方も運用実績も大きく変わる可能性があります。

ポートフォリオの重要性 ー10個の卵をひとつの籠に盛るなー

ポートフォリオが資金運用でいかに重要かは、投資に関わるある格言を掘り下げてみるとわかりやすいでしょう。

「10個の卵をひとつの籠に盛るな」という格言は、投資の世界では昔からよく知られています。この格言が意味することをたとえ話から理解してみましょう。

10個の卵をひとつの籠に盛るな

10個の卵は、あなたが持っている資産です。その卵を一つの籠に入れて運んだとしましょう。卵が籠の中でぶつかり合っていくつかが割れてしまう可能性があります。うっかり躓いて転んでしまったら、全ての卵が割れてしまうでしょう。しかし、これを二つの籠に半分ずつ分けてあれば、半分しか失わずに済んだと考えられます。籠の数が多ければ卵同士がぶつかる回数も減るので、割れるリスクもさらに低減されるでしょう。

このたとえ話での籠は投資先のことを指します。このように投資先を複数にして分散投資をすることで、大きな損失を生んでしまうリスクが下がります

分散投資の仕方には投資先を分ける以外にもタイミングを変えるなどの色々な方法がありますが、その組み合わせ方も合わせてポートフォリオと言うことができます。つまり、ポートフォリオを組むことで、予期せぬ事態になっても損失を抑えて資産を守れるようになるのです。

最適なポートフォリオを組むには

ポートフォリオの組み方は自由ですが、ただ単に複数の金融商品を組み合わせれば魅力的なポートフォリオができあがるというわけではありません。

ポートフォリオをどのようにして組むかによって、リスクがうまく分散されて安定した利益を上げられるようになることもあれば、資産が大幅に増えたり減ったりするような激動を起こすようになることもあります。

最適なポートフォリオを組んで資産運用をしていくためには「この資産とあの資産を組み合わせたらどうなるか」といったことを考えられるようになる必要があります。つまり、最適なポートフォリオを組むには、構成要素である金融資産の種類(アセットクラス)ごとの特徴を詳しく理解することが不可欠です。

ここで言う特徴とは投資におけるリスクとリターンのプロファイルを指します。何による影響を受けてどんなリスクが生まれるのか、リターンにはどのような種類があるのかといった基本的な性質を把握できれば、組み合わせた結果も考察できます。

ポートフォリオはチーム競技と同じ

野球やサッカーなどのチーム競技では、それぞれの役割を担うスペシャリストの選手がいるだけでなく、そのメンバーの特徴を理解して能力を引き出す監督が必要です。その監督が投資家であり、チームの采配をすることがポートフォリオを組むことだと考えると良いでしょう。

 

専門家からのコメント

ウェルスパス投資顧問
ウェルスパス投資顧問代表 渡邉

ポートフォリオをどう組むべきかの理論としては、現代ポートフォリオ理論(MPT)が有名です。各金融資産の期待収益率、標準偏差、相関係数からポートフォリオの効率的フロンティア(同じ期待収益率を達成するポートフォリオのなかで最も収益率の分散が小さくなるもの)が導出され、平均分散分析を行う投資家にとっての最適なポートフォリオは必ずこの効率的フロンティア上にあるというものです。更に無リスク資産(例えば国債)の概念を加えることで、リスクリターンの関係(シャープレシオ)が一番高いポートフォリオが決まり、投資家はレバレッジをコントロールすることで、このシャープレシオのライン上での投資が可能であるという、資本資産価格モデル(CAPM)へと派生していきます。理論としてはそれほど難しいものではありませんが、ここでは単純に、リスクが高ければリターンも高い(逆にリターンが高ければリスクも高い)ということ、違う資産(例えば複数の株式、あるいは株式と債券と外国為替)を組み合わせるとリスクリターンの関係が良くなるということ、を覚えておいて頂ければいいと思います。

資産運用におけるリスクとリターンを再確認

アセットクラスについて詳しい特徴を知るためには、リスクとリターンを正しく理解していなければなりません。ここで資産運用にはリスクとリターンがあることを再確認しておきましょう。

特にリスクについては誤解をしていることもよくあるので、ここで正しい認識をしてどのようにして資産運用の方針を立てたら良いのかを考えてみましょう。

資産運用におけるリスクとは

まず資産運用におけるリスクについて確認しておきましょう。

リスクは英語から直訳すると「危険」と解釈されることが多いですが、資産運用においてはリスクという言葉が本質的に持っている「物事の不確実性の概念」を意味します。より具体的には「価格(価値)の変動性」が資産運用におけるリスクです。

例えば「これからこの企業の事業が成功するからきっと株価が上がるだろう」と考えて資金を投じたとしましょう。見事にその事業が成功して大きな売り上げを達成し、株価が急上昇する場合もあります。反対に、事業に失敗して赤字決算になり、株価が下がる場合もあるでしょう。事業に成功した途端、競合他社が真似をしてシェアを奪ってしまい、株価が急落を起こしてしまうこともあります。

このように価格や価値は様々な要因で変動します。その結果として、利益になっても損失になっても「自分が予想した通りにはならない可能性がある」というのが資産運用におけるリスクです。

資産運用におけるリターンとは

次に資産運用でのリターンの意味を理解しておきましょう。リターンは字義的には「戻ってくるもの」ですが、資産運用では運用によって得られる「利得(儲け・収益率)」のことをいいます。

資産運用の目的はリターンによって資産を増やすことなので、リターンを念頭に置いて投資先の金融資産を選ぶのが一般的です。投資先の種類によって、資金を投じる時点でいつ・どのくらいの利得が得られるかをある程度は予測できるものもあります

しかし、運用の仕方や世の中の動きなどによって利得が左右されるため、最後までどのくらいの利益を手に入れられるかがわからないものも少なくありません。利得の予測が可能な投資先でもどのくらいの正確性で予測できるか、どの程度の期間なら信頼性のある予測が可能かといった点が異なります。

アセットクラスの特徴を把握するには、ただ投資額に対してリターンが多いか少ないかだけでなく、どのくらいリターンの予測が可能かも意識するのが大切です。

リスクとリターンの関係性

リスクとリターンについて理解できたところで、この二つが資産運用においてどのような関係性を持っているかを見ておきましょう。

資産運用では「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」という表現がよく用いられます。つまり、リスクとリターンは表裏一体で、利益を追求すればそれに見合ったリスクを負担することになるというのが一般的な特徴です。

リスクとリターンが表裏一体とはどういう意味なのか、これは「振り子」の原理で考えてみるとわかりやすいでしょう。

リスクとリターンの関係性を振り子に例えると

振り子は左右に同じ幅で振れる性質があります。仮に右に振れたら利得、左に振れたら損失と考えてみましょう。すると振り子が右に大きく振れたら、必ず左にも同じ大きさで振れます。振り子の振れ幅を不確実性の大きさだと考えれば、大きな利益が出る可能性があるときほど同じ大きさの損失が生まれる可能性も高いということになります。

このような振り子の挙動で資産運用のリスクとリターンの関係のイメージを持っておきましょう。

資産の種類とそれぞれのリスク・リターン

リスクとリターンは表裏一体の関係にありますが、資産の種類によって性質に違いがあることも知られています。

アセットクラスは4つに分類することができます。ここではアセットクラスの分類と、それぞれのリスク・リターンについて具体的に確認していきましょう。

この知識に基づいて考えることが適切なポートフォリオを組むことにつながります。

アセットクラスの分類

アセットクラスは投資対象となる金融資産の種類のことで、分類の仕方にもいくつかの方法があります。

今回は、金融資産を単純でわかりやすいアセットクラスに分類し、その中から、みなさんに比較的なじみ深い4つを取り上げます。

  1. 現金・預貯金
  2. 債券
  3. 株式
  4. FX(外国為替)

このアセットクラスの分類では、1から4に向かってリスクが高くなると考えられています。そのため、リスクとリターンが表裏一体と考えると、1から4に向かってリターンも大きくなると期待できます。

例えば、リスクが高い資産とされている株式に投資をすると、資産を失う可能性もあります。しかし、優良な株式に投資することができれば相応の利得を得ることもできるでしょう。株式なら高値で買ってしまうと株価が下落するリスクが高くなりますが、割安なときに買えれば株価が上昇してリターンを得られる可能性が上がります。

このようにアセットクラスによってリスクやリターンに特徴があるので、それぞれの特徴を詳しく把握することが重要なのです。

アセットクラスにも投資対象が1つしかないわけではありませんが、同じアセットクラスであれば共通した性質を持っています。そのため、ポートフォリオを組むときにはまずアセットクラスを考えるのが基本となっています。

現金・預貯金

現金や預貯金は、リスクが低い代わりに利得もあまり得られないのが共通する特徴です。

現金は貨幣をそのまま所持する方法で、価値は安定しているものの、所持しているだけなので増えることは基本的にありません。むしろインフレが起こると貨幣価値は低下するため、資産としても価値が下落することになります。

近年におけるインフレの事例

南米のベネズエラでは政治不安の影響によって経済状況の混乱が生じ、200万%ものハイパーインフレを起こしました。

日本円がハイパーインフレを起こすリスクはあまりないと考えられますが、コロナ騒動の影響もあって日本の財政は芳しい状況とは言えません。公的債務が大きく膨らんでいる状況を加味すると、今後ある程度のインフレが起こる可能性があるでしょう。

預貯金は銀行などの口座にお金を預ける方法で、わずかながら利息が付きます。元本保証の金融資産ですが、銀行が経営破綻を起こした場合には保証されるのは1000万円までです。元本のうち1000万円を超える部分とその利息は支払われない可能性があります(ペイオフ)。

なお、利息が付かない当座預金はペイオフの対象外なので全額保護されます。しかし、昨今の銀行の信頼性の低下を考慮すると、今後も預貯金なら安心とは言い難いのが実情です。

債券

債券は国や地方自治体、企業などが資金を調達する目的で発行する”借用証書”のような金融資産です。

債券を発行した際には一定期間(満期)になったら元本に利息を付けて返済する仕組みになっているため、満期まで保有していれば利息による利得を得られます。国や企業などへの融資による投資で、発行元が倒産しない限りは満期まで持っていれば元金も利息も保証されます。

債券には一定期間ごとに利息が支払われる利付債もあります。利付債には利率が一定の固定利付債と利率が変動する変動利付債があり、額面を100円として初期の利率は発行時に決定されるのが一般的です。

変動利付債の場合には債券価格と金利にシーソーのような関係があり、金利が上がれば債券価格が下がり、金利が下がれば債券価格が上がります。満期を待たずに債券を売却する場合にはこの影響で元本割れすることもあるので注意が必要です。

債券の金利を変動させる要因は多岐にわたっています。世の中で企業などがどの程度お金を必要としているか、インフレやデフレが進行しているかといった社会での資金の需要や物価の動向も影響します。さらに個々の債券については債券発行元の業績や経営状況などによる価格変動が起こるのが一般的です。

株式

株式は事業資金の調達のために発行している金融資産で、株式を購入するとその企業の株主として資本金の一部を持つことになるのが特徴です。株券自体にも資産価値がありますが、株主になることで得られる利得もあるのが株式投資をする魅力です。

株主は値上がり益(キャピタルゲイン)と配当(インカムゲイン)を利得として手に入れられます。

  1. 値上がり益(キャピタルゲイン)とは:
    株価が低いときに購入して高いときに売却することで得られる差額の利益です。
  2. 配当(インカムゲイン)とは:
    企業が事業によって得られた利益を株主に還元するもので、配当金や株主優待が該当します。

つまり、株式は保有し続けても売買をしても利益を生み出せます

株式投資はハイリスクの投資とよく言われています。株式投資が債券に比べてリスクが高いとされている理由は、相場の推移を分析すると理解できるでしょう。

日本での債券価格や株価を見ると、債券の場合は標準偏差が2%程度なのに対して、株の場合は20%程度になっています。ばらつきを示す統計指標である標準偏差が10倍も違うとなると、株式の方が値動きの幅が大きくてリスクが高いと考えられるのです。

このリスクを低減させつつ、株式投資による利益幅の大きさも生かす方法として上場投資信託(ETF)も注目されるようになっています。

FX(外国為替)

FXはForeign eXchangeの略で、元々は外国為替の意味でしたが、最近では、外国為替証拠金取引のことを指すようになりました。

外国為替取引と外国為替証拠金取引の違いは、外国為替取引を証拠金で行うかどうかの違いです。そして、一般的に認知されている外国為替証拠金取引は、ハイリスクとされています。

では、なぜFXは一般的にリスクが高いのでしょうか?

それは、証拠金を業者へ預け入れることによって、証拠金の何倍もの金額の外国為替取引が可能になるからです。日本では最大25倍の取引が可能です(2020年現在)。

例えば、1ドル=100円の時に、1万円でドルを購入するとしましょう。外国為替取引の場合は、100ドルしか買えません。しかし、外国為替証拠金取引で1万円を預けて25倍の取引をすると、2500ドルも買えます。

もし、1ドル=104円になった場合は、4円×2500ドル=1万円の儲けです。一方、1ドル=96円になった場合は、-4円×2500ドル=-1万円となり、証拠金を全て失います。

これが、FXがリスクが高いと言われる理由です。

専門家からのコメント

ウェルスパス投資顧問
ウェルスパス投資顧問代表 渡邉

高いレバレッジをかけて取引を行うケースが多いため、ハイリスクハイリターンのイメージが強い外国為替ですが、高いレバレッジを使わなければ高いリスクにはなりません。各国の経済状況にくわしいということであれば、適度なレバレッジを使って、上手に外国為替投資をすることができます。

日本株式だけではなく、投資商品のリスク分散として外国株式への投資を考える方も多いと思います。外国株式に投資する際には、まず購入する際に外国為替の知識が必要となりますし、外国株式投資における日本円でのリターンは、外国株式と外国為替のリターンの掛け算になりますから、外国為替についてきちんと理解することはとても重要です。

堅実な資産運用のためのポートフォリオの組み方

堅実に資産運用を進めて将来の備えにしたいと考えている人は多いでしょう。現代は「人生100年時代」となり、老後も考慮した長い人生を支える資金が必要になります。

これから先の暮らしを豊かにしていくためには、どのようなポートフォリオを組むのが良いのでしょうか。賢い資産運用をするには以下に挙げるポイントを押さえてポートフォリオを組むのが肝心です。

目先のリターンよりリスクコントロールを

堅実な資産運用を目指すポートフォリオを組むにはリスクコントロールを重視するのが大切です。資産運用をするときには目先のリターンにとらわれてしまいがちになります。

債券や株式への投資を通してすぐに利得を得られるようにしようとすると、リスクを見落とす可能性が高くなります。将来の展開は不確実性を持っているので、思い通りにコントロールすることはできません。しかし、リスクをコントロールすることはできます

ここで言うリスクは元本割れだけを意味するわけではありません。投資におけるリスクとは儲けも損失も含みます。投資の成功にはこのような広い視野で収益と損失の振れ幅をコントロールし、自分の理解が及ぶ範囲で資金を運用するのが大切です。

遠くのものは避けよ

投資では「遠くのものは避けよ」という格言もあります。自分が正しく理解できている対象に投資するのが基本なのです。アセットクラス別のリスク・リターンの特徴を考慮し、合理的な考え方で分散投資をしましょう。

投資先の選択は長期的な視点で

ポートフォリオを組むには、投資先を選定していく必要があります。その際に先を見据えて長期的な視点で選ぶのが重要です。

資産運用では、長期的に成長すると期待できる投資先を選び出し、長い目で見て利益を出すのが基本です。たった今、話題になっている企業に投資するのが必ずしも良いわけではありません。将来的にも安定して利益を生み出す事業を行っている企業に投資することで、長期投資が成功しやすくなります。

自分の身の回りを見てみると、暮らしに欠かせないものがたくさんあるでしょう。食品や日用品などは遥か先になっても不可欠なものです。

生活必需品に限る必要はありませんが、社会にとって必要性の高い事業を行っている企業を選べば、未来にもきっと利益を生み出し続けると期待できます。今後も社会の需要に応える事業を継続し、持続的な成長を遂げていく企業を探し出すことができたら、投資対象として考えるのが基本と考えると良いでしょう。

ただし、資金を投じる際には必ずリスクがあることを考慮し、いかにしてコントロールをしていくかも考えた上で投資するのが大切です。

値動きが異なる組み合わせを考える

堅実な資産運用を実現できるポートフォリオにするためには、値動きが異なる特徴を持っている金融資産に着目して組み合わせるのが肝心です。

同じ値動きをする投資先を選んでしまうと、何かの拍子で価格の下落が起こったときに一気に資産を減らすことになります。しかし、値動きが異なる投資先を選んでいれば、ある株価が大幅に下がったとしても別の株価が埋め合わせをして損失を軽減できる可能性が生まれます。

安定的にこれから成長していく企業といっても色々な種類があります。例えば、複数の市場でシェアを獲得している老舗の大手企業と最近になって上場した新興企業では違いがあるのは想像しやすいでしょう。同じ業種でも違う値動きを示すと考えられます。

ただ、基本的には業種が同一の場合や関連が深い場合には同じような株価の動きを示すことが多いので注意が必要です。

例1
自動車や家電などの輸出産業は円高・円安の影響を受けやすく、その下請けをする部品メーカーの株も類似した値動きを示します。

また、業種は異なっていても関連性がある事業の場合には同じ値動きをすることがよくあります。

例2
アイスクリームが主力のメーカーとエアコンが主力のメーカーは別の業種ですが、どちらも「夏に売れる製品」が主力である点は同じです。猛暑日が続くような年ならばどちらも業績アップが期待できますが、反対に冷夏の年はどちらも業績が下がる可能性があります。

このような兼ね合いを考え、異なる動きを示す企業に分散投資をすればリスクをコントロールできます。

「積極型」か「安定型」か

ポートフォリオを組むときには自分が今後どのように運用していくのかに合わせる必要があります。運用の目標とリスクの許容度を主な指標として「積極型」と「安定型」のどちらのタイプが適しているかを考えてみましょう。

積極型
積極型は比較的大きなリスクを許容し、高めの利回りを狙う投資先の割合が大きいポートフォリオです。新興国の海外株式・債券などの値動きが大きくてハイリスク・ハイリターンとされる金融商品の比率が高くなります。逆に国内株式・債券や定期預金の割合が少ないのが基本です。

安定型
安定型は高い利回りを見込めなくても資金が大きく減少するリスクが低い投資先を中心にするポートフォリオです。定期預金や国内の債券・株式の割合を大きくすることでリスクを低減するのが一般的です。それに海外の金融商品も組み込むことで利益も求められるようにするケースが多くなっています。

このほか「バランス型」という積極型と安定型の中間的なポートフォリオもあります。安定性と利回りのバランスを追求するのがバランス型の特徴です。両者をバランス良く確保できるように国内や先進国の株式・債券、新興国の株式・債券を組み合わせるのが定法になっています。

投資するタイミングも分散する

ポートフォリオの組み方を考えるうえでは時間軸も考えしましょう。投資するタイミングも分散することで堅実な資産運用ができるようになります。この際に知っておくと役に立つのが「ドルコスト平均法」です。

ドルコスト平均法とは、価格の変動を起こす金融商品を投資対象として、一定期間ごとに同じ金額の資金を投じる方法です。

「時間を分散する」という考え方

例えば、ある企業の株式に10万円の投資をしようと考えたとしましょう。その際にすぐにまとめて10万円購入するのではなく、毎月1万円ずつ10ヶ月に分けて購入するのがドルコスト平均法です。

このように投資のタイミングを分散させると長期投資の価格変動に対するリスクヘッジができます。

購入のタイミングが違うと株価が変動しているでしょう。最初に購入してから1ヶ月後には株価が低くなって「翌月から開始すれば良かった」と後悔するかもしれません。しかし、逆に1ヶ月後には株価が急騰する可能性もあります。その翌月以降も、どのように株価が変動していくかは正確に予測することはできません。

できるだけ長い期間にわたって購入のタイミングを分散させることで、価格変動のリスクを平均化することができるのです。

国内株式だけでポートフォリオを組むことは可能か

ポートフォリオの組み方のポイントがわかった段階で、国内株式だけで何とか投資できないかと悩む人もいるでしょう。

為替変動リスクを考えると海外株式への投資は不安になるのはもっともなことです。結論から言えば、日本株だけでポートフォリオを組むこともできます

それでは、国内株式に限定する場合にはどのようにして投資をしたら良いのでしょうか。

国内株式の魅力

国内株式だけでポートフォリオを組むなら、国内株式の特徴をもう少し詳しく理解することが必要です。

ここまで説明してきたように、海外株式はハイリスク・ハイリターンの投資先候補がたくさんあります。安定しているグローバル企業や成長性を期待できる新興国企業は魅力的ですが、為替変動リスクの影響で短期的な値動きの大きさが問題になります。

国内企業でも輸出入の影響で為替レートの影響を受けるものの、資産価値の変動に直結しなくて済むのは国内株式のメリットです。

また、国内株式では投資先の企業を選びやすいのも魅力です。TVCMや広告などで接する機会も多く、ある企業に親近感を持っている人もいるでしょう。身近に感じている企業は生活に欠かせない役割を果たしていると考えられます。それを手がかりにして投資対象を探し始めてみると魅力的な企業を見つけられる可能性があります。

国内企業なら情報収集も容易なので、今後どのような事業展開をしていくかも把握しやすいでしょう。株価に直接関わる情報も簡単に入手できるため、値動きの傾向も比較的わかりやすいのも魅力です。

国内株式の選び方

国内株式の魅力を念頭に置いて、国内株式に投資するときの選び方を考えてみましょう。

情報収集がしやすいことを考慮すると、国内株式のみでポートフォリオを組むときには興味を持った企業を徹底的に調べて考える方法もあります。安定的に成長していくと期待できる企業が見つかったら、ポートフォリオに組み入れても良いかもしれません。

しかし、自分の興味だけにこだわってしまうと業種に偏りができてしまいがちです。また、持続的に成長すると考えられる企業だったとしても、現在の株価はかなり割高になっている可能性もあります。

国内株式の限られた範囲内で値動きの異なる銘柄を組み合わせた分散投資をするには、あらゆる業種を対象としたポートフォリオを組む必要があります。偏りなく全ての業種のグロース株(成長性の高い株)とバリュー株(割安の株)を選んで資産を分配するのがポイントです。

信頼できる情報源から企業情報も収集し、企業価値に比べて株価が割安になっているかも確認するのが投資判断をするには欠かせません。このような視点で候補株を集めていけば、国内株式だけでも堅実な資産運用ができるポートフォリオを組むことができるでしょう。

銘柄選択に迷った時は

ポートフォリオ作成時に国内株式の銘柄選択で迷ってしまうことはよくあります。あらゆる業種と言われても全然知識がなくて企業を選べない業種もあるでしょう。その際には専門家の意見を参考にして考えるのも大切です。ウェルスパス投資顧問では、無料メルマガを配信して株情報をお届けてしまいます。資産運用のプロが厳選した期待値の高い割安株や成長株を紹介しているので、今後株式投資で堅実な資産形成をしていきたい人はぜひ登録してみて下さい。

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まとめ

ポートフォリオとは資産の組み合わせのことで、投資対象の組み方とも換言できます。

投資では資産を分散させて相補的な関係性を作り上げることによりリスクを分散させ、安定した利得を得られるようにすることが可能です。自分の運用の目標やリスク許容度に基づいてポートフォリオのタイプも考えてみるのが大切です。

為替リスクを許容できない場合には国内株式に限定したポートフォリオも組めるので、長期的に成長する企業を幅広く選んで投資しましょう。

この記事を監修した専門家
ウェルスパス投資顧問代表 渡邉
ウェルスパス投資顧問
複数の大手外資系証券会社で日本株式ディーリング業務に計20年以上従事。運用結果がシビアに評価される中で最大1,000億円の運用を任される。特に、成長株の分析及び投資戦略が得意。
現在は、ウェルスパス投資顧問(関東財務局長(金商)第3014号、一般社団法人日本投資顧問業協会所属)の代表 兼 銘柄分析者 兼 投資助言者として会員へアドバイスを行う。
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