株式投資の銘柄選定の基礎~初心者が知っておくべき考え方~

株式投資では「銘柄選定」が大きな課題となります。

初心者のうちはどの銘柄を選べば良いのか迷ってしまいがちですが、基礎を学べばスムーズに選び出せるようになるはずです。

この記事では、銘柄を選べずに困っている株式投資の初心者向けに銘柄選定の考え方を解説します。菅政権発足による今後の展望についても紹介するので、銘柄選定に積極的に活用して下さい。

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株式投資初心者のための銘柄選定の考え方①すべての基本は「良い株を安く買う」こと

株式投資の大原則として、まずは「良い株を安く買う」ことを考えましょう。

株式投資の利益には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」があります。キャピタルゲインは株式の売買によって得られる値上がり益、インカムゲインは株式を保有している企業からもらえる配当金や株主優待です。

利益について考えてみると「良い株」とは「これから株価が上がる株」や「高い配当金利回りになる株」のことだと言えます。このような株を割安なタイミングで買い、割高なタイミングで売れば大きな利益を生み出すことが可能です。

企業が売り上げを出し続けて業績を向上させれば、株価は上昇していくでしょう。それによって利益を生み出すことができれば配当金が増えていきます。

つまり、「事業運営によって利益を生み出し続ける企業かどうか」に着目すれば、良い株が手に入ります。その株を安いタイミングで買うことを考えれば、きっと株式投資に成功できるでしょう。

このようなシンプルな考え方が株式投資の基礎なのです。

株式投資初心者のための銘柄選定の考え方②株価はどのように決まるのか

株式投資では、株価に着目して銘柄を選定するのが基本です。そのためには株価がどのようにして決まっているのかを理解しておく必要があります。

ここで株価が決まる基本的な原理原則を理解して、選定の際に活用しましょう。

株価は将来の見通しを先取りして動く

株式投資は「投資先の企業が今後も売り上げを伸ばしていき、継続的な利益が見込めるかどうか」ということを予想して行うのが基本です。それによって投資家へ企業の利益の一部が配当金として手に入ったり、企業価値が向上して株価が上がると投資家にとって大きな利益になったりするからです。株価は企業の会計上の企業価値によって決まるものではないので注意しましょう。

株価は基本的に、企業の経営や事業利益に関する将来の見通しを考慮し、先取りして動きます。企業の過去から現在に至るまでの業績や財務状況の推移から現状の企業を評価するのではなく「これから先に企業がどうなっていくのか」という予測で株価が決まる仕組みになっていると考えると良いでしょう。

その予測の基礎となり、株価を左右する指標には2つあります。次の項目では、その指標について詳しく書いていきます。

株価のベースになる2つの指標

株価のベースになっているのは「EPS」「PER」という2つの指標です。

どちらも企業の基本情報を見るとわかる指標なので、どのような意味を持つのかを詳しく理解しておきましょう。

EPS

EPSは「Earnings Per Share」の頭文字を取った略称で、日本語では1株当たり当期純利益です。

計算式は以下の通りです。

EPS=当期純利益/発行済み株式総数

当期純利益は会社が1期間の事業によって生み出した収益から経費や税金などを差し引いたものです。当期純利益は株主に支払われる配当の源泉にも、企業が成長する原資にもなるので、株価に関わる重要な指標です。これを株式総数で割ることにより「一株に対して最終的な利益がどのくらい生じたか」がわかるようになります。

EPSは1株当たりの価値を示すことから、株価を評価する上で重視されています。

PER

PERは「Price Earnings Ratio」の略称で、日本語では株価収益率とも表記します。

計算式は以下の通りです。

PER=株価÷EPS

PERは一般的に「株価が割安か割高か」を示す指標として用いられています。現在の株価が1株当たりの当期純利益に比べて大きいときには割高、小さいときには割安と判断できます。

ただし、PERに基づいて割高か割安かを判定する基準があるわけではありません。一般的には30倍~40倍程度が適正な株価であると考えられていますが、実際には過去のPERとの相対値により評価するのが適切です。

割高か割安かを考えると、投資効率の高い投資をすることが可能です。株価が割高になっているときには原資が大きくなるので投資効率は低下します。良い株を安く買うためには、PERが低くて割安になっているタイミングに買うのが良いと考えられるでしょう。

下値の目途を知っておく

株価が決まる仕組みを大まかに理解した段階で、合わせて知っておきたいのが株価の下値の目途です。

株価は、株価のトレンド(業績が良好でも)・一時的な業績の低迷・コロナ禍などの外的要因などで、下落することがあります。しかし、下値の目途がわかっていれば、投資に有利になります。

下値の目途は、企業がこれまでに築き上げてきた実績や事業基盤から判断すると「これ以下に株価が下がることはないだろう」というものですので、そのボーダーラインを下回るようなことがあったとしたら、絶好の追加買い(ナンピン買い)の機会となります。

もちろん同時に、長期的な業績の低迷を先取りして株価が下落している場合もあるので、より慎重な企業の再評価が必要となり、場合によっては損切りの決断が必要な場面となります。

株式投資初心者のための銘柄選定の考え方③成長株か割安株か

この記事では、投資初心者が「成長株(グロース株)」や「割安株(バリュー株)」を買って、キャピタルゲインを得る場合について書いていきます。

※配当金(インカムゲイン)狙いの投資については、こちらの記事に詳しく書いています。

成長株と割安株は同じように見えてまるで異なります。それぞれを投資先とするメリットとデメリットをここで確認しておきましょう。

成長株(グロース株)のメリット・デメリット

成長株は今後の成長が期待できる企業の株です。現状の株価は事業内容や業績、財務状況などから考えて適正なものになっていますが、中期経営計画や時代のトレンドなどを考えると今後は大きな売り上げを出して成長していくことが期待できます。

成長株に投資するメリットは、キャピタルゲインを期待できることです。企業成長によって株価が上昇するため、売買によって大きな利益を生み出せる可能性があります。社会で必要とされている事業内容なら成長の持続性も期待でき、将来的には配当金も充実してインカムゲインも増やせる可能性を秘めているのも魅力です。

しかし、既に多くの投資家から有望株として注目されてしまって割高になっていることもあり、買うタイミングが適切でないと利幅が小さくなる可能性があります。また、一時的人気で業績・成長に関係無く高騰した場合には、長期的な値下がりを起こしてしまうこともあるので注意が必要です。

割安株(バリュー株)のメリット・デメリット

割安株は現状の企業価値に比べて株価が低くなっている企業の株です。現状が割安なので、いずれ適正な株価に戻ると考えられることから、銘柄選定のときによく着目されています。

割安株を選ぶメリットは「安いタイミングで株を買う」という基本原則を踏襲した投資になるため、キャピタルゲインを得られる可能性が高いことです。適正な株価に戻る可能性が高いだけでなく、注目されると一時的に割高な株価まで高騰することもあります。

一方、デメリットとしては利益を得られるタイミングがいつになるか予測しにくいことです。多くの投資家が割安だと認識すれば株価が上がって利益になるでしょう。しかし、そのタイミングは数日後のこともあれば数年後のこともあります。

また、割安株は持続的な成長(業績アップ)があるとは限りません。さらに、適正な株価に戻るのを待っていたら、想定外に業績が低迷しはじめたというリスクもあるので注意が必要です。

景気サイクルから投資妙味を考える

成長株や割安株は、投資よって大きな利益を得られる点が魅力です。その醍醐味を最大化して投資妙味を十分に得られるようにするには「景気サイクル(シクリカル)」を考慮することも重要になります。

景気には周期的な循環性があります。好況によって拡大を続ける時期があるものの、やがてピークを過ぎれば後退に向かっていきます。そして、不況の影響を受けて低迷を起こした後、再び景気が回復して好況に向かうというサイクルです。

この景気サイクルに着目すると、成長株や割安株の投資時期や利益確定時期を見極められるでしょう。

株式投資初心者のための銘柄選定の考え方④国策や世界情勢にも注目

銘柄選定のときには、株価や企業の業績や成長性だけを見ていると失敗する可能性があります。

重要な観点として、国策や世界情勢が挙げられます。国が進めている政策や地政学リスクを考慮する視点についても理解を深めておきましょう。

国の政策から有望株が見えてくる

国策は企業の成長や事業の方向性、業界の隆盛・衰退に大きな影響を及ぼします。

国の政策として力を注ぐべきだと取り上げられた場合には、支援も充実します。設備投資に補助金が出されるなど、持続的な利益を得るための基盤作りに有利な政策が決定されると企業にとっては成長機会になります。

近年では5Gを代表とする情報通信関連事業や、コロナ関連の医療関連事業、リモートワーク支援事業などが典型的なものです。ESG投資が注目されているのも世界的な動きに合わせたSDGs促進のための政策が進められているからに他なりません。

このように国策という着眼点を持つと、有望株が自然と浮き彫りになって見えてくるでしょう。

地政学リスクにも要警戒

世界情勢として最も重要なのが地政学リスクです。

地政学リスクとは

地政学リスクとは、特定の地域で発生した政治や軍事などによる緊張や不安が広まり、地理的に近い関連地域に影響を及ぼすリスクを指します。最終的には世界全体に範囲が広がり、先行きが不透明な状況を生み出すこともあります。

地政学リスクとして典型的なのが紛争や戦争、テロなどの発生です。また、災害や異常気象、パンデミックの発生なども地政学リスクとして知られています。

このような世界情勢の変動は突発的に起こることもありますが、ある程度は予測可能な場合もあります。日韓関係や米中の貿易摩擦といった大きな問題に発展し得る社会事象に注目して動向を確認しておけば、タイミングを見極められるでしょう。

地政学リスクは常に世界情勢を気に掛けることで回避が可能です。株式投資に取り組む上では十分に警戒しておかなければならない点なので、銘柄選定をする時点だけでなくその後も留意して動向を追いましょう。

まとめ

株式投資では、銘柄選定の良し悪しによって利益に大差が生じる可能性があります。しかし、基本的な考え方を押さえてしまえば、リスクを抑えて魅力的な候補を選び出すことができるでしょう。

ここでは株式投資の初心者がまず理解しておくべきポイントを掘り下げてご紹介しました。この考え方を基盤として色々な銘柄を比較・吟味し、自分の投資スタイルに合った銘柄を選び出しましょう。